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がんの早期診断に有効なマーカーの検索、また化学療法や免疫療法、放射線療法などに抵抗性のがんも含めた新たな治療法の開発を行います。いずれも高度な基礎研究から臨床応用へと発展させることにより府民の健康と、ひいては我が国、世界のがん患者への貢献を目指します。

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1962年から継続している大阪府がん登録を基盤に、大阪府がん対策推進計画など、科学的根拠に基づくがん対策の立案および進捗管理で大阪府と協働することに加え、病院や研究所等とともに大阪国際がんセンターを構成する柱の一つとして、その理念の実践に取り組んでいます。

難治がんの一つである「成人T細胞白血病(ATL)」が大阪府で増加 がん登録データを用いた研究結果が論文として掲載

Press Release

2021年3月8日

 

難治がんの一つである「成人T細胞白血病(ATL)」が大阪府で増加

がん登録データを用いた研究結果が論文として掲載

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 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(以下、当センター)血液内科 藤重夫 副部長、がん対策センター政策情報部 中田佳世 副部長は、大阪府のがん登録データを用いて成人T細胞白血病(以下、ATL)について研究を行い、大阪府における罹患者が増加していること、治療成績が依然として不良であるという結果を発表、英文医学誌(論文1「Annals of Hematology」※1、論文2「Biology of Blood and Marrow Transplantation」※2)に掲載されました。

 血液を流れている白血球にできるがんを白血病と言います。その中で白血球の一つであるTリンパ球に起こるがんがATLであり、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1※3)が原因で発現し、白血病の中でも治療成績が不良の難治がんの一つです。これまで、ATLは本邦では九州地方に多いことが知られてきましたが、その他の地域の実態はあまり知られていませんでした。そこで、1977年から2014年までに大阪府に登録されたデータを用いて、ATLの調査をしました。その結果、大阪府のATL患者数は図1のように増えてきていることがわかりました。特に高齢者の増加が目を引き、60歳代および70歳以上での増加率が著明です。また、治療成績について、図2のように2009-14年にATLが見つかってからの生存率は、それ以前の1977-99年、2000-08年に比べて改善はしていますが、1年以内の生存率は50%を下回り、3年後の生存率は17.5%と、相変わらず予後(経過)が極めて不良であることがわかりました(論文1)。

 このようにATLは治療成績が不良ですので新たな治療法が必要であり、骨髄移植の一つである同種造血幹細胞移植※4(以下、同種移植)が期待を集めて行われてきました。大阪府がん登録のデータだけでは細かい治療法まで分からないことから、医療費支払い制度であるDPCのデータを組み合わせて※52010-15年のATL患者の分析を行ったところ、同種移植を受けた患者と受けなかった患者で生存率に差が見られず、治療成績の向上に貢献していないことが分かりました(論文2)。ATLに対する同種移植を行うタイミングの最適化や移植法の質を上げることで、治療成績を向上させる必要があると考えられます。

 がん患者の一人ひとりのデータを登録することは、がんの対策を考えるうえで大変重要であり、2016年から法制化され、全国がん登録が始まりました。大阪府では60年前から地道にがん登録を行ってきており、全国最多で質の高いデータが蓄積されています。今回、大阪府がん登録のデータを用いたことで、ATLは大阪府で増加の一途をたどっており、治療成績の改善は少なく、依然として不良であることがわかりました。診断後の予後の不良が大阪で増加しているATLの治療成績を上げるためには、ATLの早期発見、早期治療が重要であり、新しい診断や治療法の開発を進めていく必要があります。当センターでは、今後も大阪府のATLの治療成績向上を目指し、臨床・研究に積極的に取り組んでまいります。

 

図1

図1

 

図2

図2

※ 全国平均の5年生存率はおよそ30~40%

 

※1 Fuji S, Kida S, Nakata K, Morishima T, Miyashiro I, Ishikawa J. Increased incidence of adult T cell leukemia-lymphoma and peripheral T cell lymphoma-not otherwise specified with limited improvement in overall survival: a retrospective analysis using data from the population-based Osaka Cancer Registry. Ann Hematol. 2020 Oct 21. [Epub]

※2 Fuji S, Kida S, Morishima T, Nakata K, Miyashiro I, Ishikawa J. Clinical Outcomes of Patients with Adult T Cell Leukemia-Lymphoma in a Nonendemic Metropolitan Area: A Retrospective Analysis of the Population-Based Osaka Cancer Registry. Biol Blood Marrow Transplant. 2020 Aug;26(8):1433-8.

※3 ヒトに感染するレトロウイルスの一種で、成人T細胞白血病(ATL)等の病気の原因となる病原性のあるウイルス。同じレトロウイルスの仲間としてはエイズの原因となるHIVが有名。1970年代に日本でHTLV-1が発見され、白血病との関連が明らかにされた。

※4 ドナーから造血幹細胞を提供してもらう移植法

※5 大阪府がん登録データと包括医療費支払い制度(DPC)データを連結させたデータベース(リンケージデータ)のこと。治療内容などが予後に与える影響を評価することが可能となる。

 

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