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がんの早期診断に有効なマーカーの検索、また化学療法や免疫療法、放射線療法などに抵抗性のがんも含めた新たな治療法の開発を行います。いずれも高度な基礎研究から臨床応用へと発展させることにより府民の健康と、ひいては我が国、世界のがん患者への貢献を目指します。

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大阪府緊急事態宣言期間中の喫煙状況を分析

Press Release

2021年5月27日

 

大阪府緊急事態宣言期間中の喫煙状況を分析

喫煙者の12%が禁煙に、32%が喫煙本数を増加

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 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターのがん対策センターは、大阪府健康づくり課と協働し、大阪府民のための健康アプリ「アスマイル」を用いて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い2020年4月に発令された緊急事態宣言下における喫煙状況の変化について分析し、 2021年3月20日に、国際誌であるJournal of Epidemiologyに論文発表しました。

 宣言の発令により、喫煙者の 1 1.9 %が禁煙したのに対して、 3 2.1 %が喫煙本数を増加させており、特に一人暮らし、在宅勤務者、所得が減少した人などの喫煙本数が有意に高まったことがわかりました。大阪府民のための健康アプリ「アスマイル」のアンケート機能を用いた分析は今回が初めてです。

大阪府民のための健康アプリ「アスマイル」
【画像提供:大阪府健康づくり 課 】

https://www.asmile.pref.osaka.jp/about.html

 

大阪府の健康アプリ「アスマイル」を用いて、2020年5月27日~6月14日までの期間で2020年4月の緊急事態宣言の発令による生活の変化についてアンケート調査を行いました(調査開始時点の「アスマイル」登録者数は195058 名)。具体的には「発令の前後で、食事、身体活動、普段の生活にどのような変化がありましたか」という問いを投げかけ、40,092名(男性 12,503名、女性 26,826名、性別不明 763名)から情報を取集し、そのうち、喫煙者 5,120名(男性 2,615名、女性 2,505名、平均年齢 50.7 10.7歳)の喫煙状況等を分析したところ、607名(11.9%)が“禁煙をした(吸うのをやめた)”と回答し、1,645名 32.1%)が“吸う本数が増えた”と回答しました【図1】。

【図1】緊急事態宣言による喫煙本数の変化

 

禁煙をした人は、「男性」「55歳以上の高齢世代」「ストレスが減少した人」「無職の人」において、その存在率比が統計学的に有意に高い結果となりました【図2】。一方、喫煙本数が増加した人は、「44歳以下の若い世代」「一人暮らしの人」「所得が減少した人」「ストレスの増減があった人」「在宅勤務者」において、その存在率比が統計学的に有意に高い結果となりました【図3】。

【図2】禁煙した人の特徴

女性を基準にした場合
・男性: 1.38 倍

45-54 歳を基準にした場合
・55-64 歳: 1.24 倍
・65 歳以上: 2.45 倍

ストレスの増減がなかった人を基準にした場合
・ストレス が 減少した者: 1.42 倍

正社員・正規職員を基準にした場合
・無職: 1.57 倍

禁煙した人が多かった

 

【図3】喫煙本数 が 増加した人の特徴

45-54 歳を基準にした場合
・35 歳未満: 1.22 倍
・35-44 歳: 1.20 倍

4人以上と同居を基準にした場合
・一人暮らし: 1.23 倍

所得の増減がなかった人を基準にした場合
・24 %以下の所得が減少した人 1.20 倍
・25-49 %の所得が減少した人 1.33 倍
・50-99 %の所得が減少した人 1.37 倍

ストレスの増減がなかった人を基準にした場合
・ストレスが増加した人 1.49 倍
・ストレスが減少した人 1.32 倍

在宅勤務をしていない人を基準にした場合
・在宅勤務者: 1.29 倍

喫煙本数が増加した人が多かった

 

 喫煙は新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子の一つであり、厚生労働省は新しい生活様式の実践例の一つとして“禁煙”を示しています。しかしながら、本研究で、禁煙した者もいる一方で、喫煙者の 3 割が喫煙本数を増やしていることがわかりました。特に一人暮らし、在宅勤務などの喫煙本数が増加しやすい傾向があることを踏まえ、今後も継続的に社会状況の変化と喫煙状況や健康状態の変化を追っていくことが必要だと考えます。

 当センターはこれからも大阪のがん行政を支える疫学データの研究を通じて、府民の健康づくりと医療の発展に貢献してまいります。

発表論文:Koyama S. Tabuchi T., Okawa S., Kadobayashi T., Shirai H., Nakatani T., Miyashiro I. Changes in smoking behavior since the declaration of the COVID 19 s tate of emergency in Japan : A cross sectional study from the Osaka health app . J Epidemiol

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20200533/_article/ char/en

 

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