手術時間が短く、術後トラブルが起こりにくい食道胃接合部がんに対する新しい手術法を開発

Press Release

2020年7月20日

 

手術時間が短く、術後トラブルが起こりにくい

食道胃接合部がんに対する新しい手術法を開発

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 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(以下、当センター)の消化器外科は、近年増加傾向にある食道胃接合部がんの手術方法として、逆流防止効果が高いハイブリット弁形成食道残胃吻合(Tri double-flap hybrid method[TDF法])を開発しました。従来の上川法(観音開き法)※1に比べ手術時間が短く、術後トラブルの頻度が低いことが最大の特徴であり、この成果はJournal of Gatrointestinal Surgery に掲載されました。(2020年3月10日Web版)

 食道と胃のつなぎ目にあたる部分にできるがんを食道胃接合部がんといい、世界的に増加傾向にあり、日本でも食事の欧米化により発生頻度が増えています。食道胃接合部がんの適切な手術法はまだ確立されていません。また、残った食道と胃をつなぐのが簡単でなく、手術後のトラブル※2も多いため、難易度の高い手術といわれています。

 消化管の一部を取った後に食べ物の通り道を作り直すことを再建と言い、食道胃接合部がんの場合は、残った食道と胃をつなぐ方法が食物の通りが自然で、理想的な再建法と考えられます。しかし、残った食道は胸の中にあり陰圧※3であるため、胃の中の物が食道に引き込まれて胸焼けなどの症状を表わす逆流性食道炎がよく起こります。そこで、胃の中身が食道に逆流するのを十分に防ぐことができる上川法(観音開き法)が行われてきました。しかし、この手術は操作が複雑でつなぎ方も難しく、つなぎ目も狭くなりやすいので、誰でも簡単にできる手術ではないというのが課題でした。

 この課題を解決するために、当センターではTDF法という、簡単にできて逆流も起こらない手術方法を開発しました。その利点は、食道と胃のつなぎ目を手で縫うのが難しいので、それを器械で行い、一方、逆流を防止する弁の形成は丁寧に手縫いで行うところにあります。この方法で手術の操作が簡便になるだけでなく、食道と胃のつなぎ目のトラブルの発生頻度を低くすることができます。胃の中身の食道への逆流を抑えることもできます。当センターで食道胃接合部がんに対してこの方法による手術を行った検討では、食道を長さ48.5mm(従来は30mm)切り取ったにもかかわらず、上川法(観音開き法)に比べて手術時間が有意に短く(約40分短縮)※4、つなぎ目のトラブルは全く起こらず、十分な逆流防止機能を認めました。

 これらの結果からTDF法は簡便かつ手術後のトラブルリスクの少ない再建方法として、食道胃接合部がんに対する最適の手術法です。腹腔鏡を用いて腹部操作のみで行うことのできるこの手術法は、患者さんへの負担を軽減し、術後のQOLを保つのに役立つものと考えています。

 

※1 両開きの窓を開ける(観音開き)のように、胃の筋肉でフラップを作成し、食道を筋肉と粘膜の間に埋め込む方法。

※2 つなぎ目が狭くなり食べ物が通りにくい(吻合部狭窄)、つなぎ目がうまく治らない(縫合不全)などのトラブルがよく見られる

※3 胸の中は-2~-10cmH2Oと、大気圧よりも低い圧になる

※4 当センターの症例におけるデータ

 

<補足資料>TDF法の図解はこちらをご覧ください

 

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