平成27年度 大阪府立成人病センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 41 156 430 1,042 1,775 3,489 3,357 740 15
【年齢階級別退院患者数について】
・当センター退院患者の、年齢階級別(10歳刻み)の患者数を示しています。
・年齢は、入院時の満年齢です。
・0歳~10歳未満の症例数は、10未満のため、「-」で表示しています。また90歳以上は、1つの階級として取り扱っています。

 特定機能病院であり、都道府県がん診療連携拠点病院である当センターは、がんと循環器疾患の専門病院として高度で質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。専門としている疾患の特徴から、60歳以上の退院患者の占める割合が約7割であり、高齢者の入院が多い傾向にあります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx02x0xx 胃がんの腹腔鏡下手術 119 12.87 16.02 0.00 64.39
060035xx0100xx 大腸がんの手術 87 15.15 17.41 0.00 64.56
060010xx01x1xx 食道がんの手術 84 27.12 38.26 2.38 64.81
 消化器外科では、食道、胃、大腸、肝・胆道、膵臓と5グループによる臓器別診療体制をとっており、それぞれの専門家が最新の診断法と治療法を駆使しながら個々の症例の病期に適した手術および併用療法を行っています。また消化器内科や放射線治療科、腫瘍内科との連携が密であり、患者さんひとりひとりの治療方針を合同カンファレンスで決定しています。特に腹腔鏡下胃切除術(119件)、大腸がん手術(87件)、再建術を伴う食道がん手術(84件)を多く行なっており、症例数は全国トップクラスです。また、クリニカルパスの活用により、在院日数は全国平均より大幅に短くなっています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺がんの手術 199 13.97 13.03 0.00 66.07
040040xx97x10x 肺がんの手術(中心静脈注射等あり) 69 18.38 21.39 0.00 69.74
040040xx9900xx 肺がんの治療 17 4.94 15.00 0.00 68.47
 肺がんを中心に胸部悪性腫瘍の外科治療を主に行っています。1962年から数えて6,800件を越える豊富な手術症例と臨床経験に基づいて肺がん、縦隔腫瘍(胸腺腫、胸腺癌など)、転移性肺がん、胸膜悪性中皮腫などの手術を行っています。当科での治療はほとんどが肺がん手術となります。患者さんの負担をできるだけ減らすため、胸腔鏡での手術を多く施行しています。
乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx 乳がんの手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 262 6.37 6.79 0.00 54.82
090010xx02x0xx 乳がんの手術(単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 101 13.05 10.37 0.00 56.13
090010xx01x0xx 乳がんの手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。)) 58 15.19 11.63 0.00 56.52
 当科では乳房温存手術のほか、形成外科医と連携した乳房同時再建や内視鏡手術も取り入れ、できるだけ傷や乳房の変形が目立たないよう、根治性と整容性の両立を目指しています。 またセンチネルリンパ節生検も早くから導入し、現在過半数の症例に実施しています。センチネルリンパ節転移に対する腋窩非郭清は陰性の場合はもちろん、陽性でも一定の状況を満たせば治療が行うことができるよう他に先駆け臨床試験を開始しています。進行がんに対しては、術前のホルモン療法や化学療法を導入してdown-stagingを図り、残存腫瘍の広がりに応じた局所治療(乳房温存療法または乳房切除)を行う方針をとっています。
 DPC別延べ患者数は、乳房部分切除術(腋窩郭清を伴わないもの)は262件と最も多く行っています。原則、入院日数は4日ですが、乳房同時再建を行う症例が含まれるため、平均在院日数は6.37日となっています。これは、全国平均より短い日数です。乳腺全摘術、乳房部分切除術(腋窩郭清を伴うもの)も同様に、乳房同時再建を行う症例が比較的多く含まれるため、平均在院日数はそれぞれ13.05日、15.19日であり、これは全国平均より少し長くなっています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070041xx99x3xx 悪性軟部腫瘍の化学療法 103 9.23 10.26 0.00 51.26
070041xx01x0xx 悪性軟部腫瘍の手術 52 21.12 19.92 0.00 58.75
070010xx010x0x 良性軟部腫瘍の手術 45 7.36 6.14 0.00 49.24
 整形外科は、「四肢、体幹のできもの」、すなわち骨、および筋肉、血管、神経などの軟部組織に発生する腫瘍=骨軟部腫瘍を専門としています。骨軟部腫瘍の特徴は①発生頻度がまれ②筋肉、脂肪、神経、血管など発生母体となる組織がさまざま③比較的若年者に多い、などが挙げられます。
 DPC別延べ患者数は抗がん剤治療(103件)、悪性腫瘍手術(52件)、良性腫瘍手術(45件)の順となっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx01x10x 脳腫瘍の手術 28 18.71 31.46 3.57 55.86
010010xx99000x 脳腫瘍の治療 18 8.78 11.08 16.67 59.06
010010xx9907xx 脳腫瘍の化学療法 15 38.00 36.50 0.00 59.73
 多種多様な治療法があるからこそ、「正しい知識とデータ」に基づいた最適な治療法の選択が大切です。当科では、脳腫瘍、間脳下垂体腫瘍、脳血管障害など幅広い脳神経疾患に対し、「世界最高水準の先進的脳神経外科治療」をめざしています。分子レベル、遺伝子レベルの高度な専門知識に基づいた最先端の手術技術と治療法を駆使して、患者さん一人ひとりにとって最適な治療を提供しています。
 DPC別延べ患者数は脳腫瘍摘出術(28件)、脳腫瘍に関する精査や検査(18件)、化学療法(15件)の順となっています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
03001xxx99x3xx 頭頸部がんの化学放射線療法 183 18.37 41.38 0.00 61.53
03001xxx01000x 頭頸部がんの手術(舌悪性腫瘍手術等) 100 14.07 12.32 0.00 63.27
03001xxx97x00x 頭頸部がんの手術(内視鏡的食道粘膜切除術等) 100 7.49 10.23 0.00 66.57
 耳鼻咽喉科のがん(頭頸部がん)の治療を主体に行い、他院での再発例や治療困難と診断された症例も扱い、症例数は国内有数です。この領域は、しゃべる(発声)・噛み砕く(咀嚼)・飲み込む(嚥下)など人間として生きていくために不可欠な働きを持っているため、救命はもちろんのことこれらをできるだけ温存することが重要となります。そのため放射線治療科・腫瘍内科との協力による集学的治療や形成外科との協力による切除後の再建などによりできるだけ機能や形態を温存するよう努めています。
 DPC別延べ患者数は、化学放射線療法(化学療法と放射線治療の併用)183件、舌悪性腫瘍切除術等100件、内視鏡的食道粘膜切除術等100件の順になっています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx01x0xx 前立腺がんの腹腔鏡下手術(ダヴィンチ) 99 12.90 14.03 0.00 67.17
110070xx02020x 膀胱がんの経尿道的手術(化学療法併用) 72 7.32 8.02 0.00 69.32
110070xx99x20x 膀胱がんの化学療法 60 18.02 12.36 0.00 69.75
 泌尿器科では、悪性腫瘍の診断治療を専門に扱い、疾病の進行具合に応じた効果的な治療法を確立しています。早期発見と手術・放射線療法・薬物療法・免疫療法などの治療法を組み合わせた集学的治療によりがんの根治を目指すとともに、臓器機能の温存や早期の社会復帰など患者さんのQOL(生活の質)を重視した治療を行っています。前立腺の悪性腫瘍に対して手術目的で入院される症例が多く、ほとんどの場合、ダヴィンチ(内視鏡手術用支援機器)を用いた手術を行っています。小さい傷で、3D拡大視野のもと、出血の少ない繊細な手術を施行しています。膀胱腫瘍の手術は尿道から内視鏡を入れて行う手術が多く、患者さんにより術後に抗がん剤の膀胱注入をすることにより再発予防もしています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮がんの化学療法 282 7.99 5.33 0.00 56.62
120010xx99x50x 卵巣がんの化学療法 160 5.93 5.17 0.00 55.98
12002xxx01x0xx 子宮がんの手術 103 14.23 13.97 0.00 52.24
 婦人科領域の悪性腫瘍を中心に、婦人科疾患の診断と治療を行っています。悪性腫瘍の診断についてはCT,MRI,PET/CT,超音波などを駆使し、術前の的確な診断に努めるとともに、進行がんに対しては徹底的な手術摘出に化学療法と放射線治療を組み合わせた集学的治療を精力的に行い、わが国でも有数の治療成績を挙げています。初期がんに対しては積極的に臓器温存を図り、より侵襲の少ない安全な縮小手術での完全治癒をめざし、QOLの向上にも努めています。
 婦人科で最も多い症例は、子宮がんに対する化学療法です。次いで卵巣がんに対する化学療法、子宮がんの手術となっています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9904xx 肺がんの化学療法(下記以外の抗がん剤使用) 174 12.06 13.38 0.57 63.99
040040xx9908xx 肺がんの化学療法(ベバシズマブ使用) 130 9.75 11.62 0.00 60.89
040040xx9900xx 肺がんの治療 100 7.98 15.00 2.00 65.81
 呼吸器内科では、肺がんを含む胸部疾患の早期発見、早期診断に力を入れており、通常の検査では発見・診断が困難ながんに関しても豊富な実績を有しています。治療の分野では、早期肺がんのレーザー治療、放射線・ピンポイント治療や、肺がん、胸腺腫瘍、悪性胸膜中皮腫等に対する化学療法、分子標的治療、免疫療法を行っています。手術不能でも胸部に限定した腫瘍であれば、最新の治療実績に基づいて、化学療法、放射線療法、分子標的治療、外科治療を組み合わせた集学的治療を行っています。
 診療内容は、主に肺がんに対する化学療法となります(304件)。また、肺がんの検査入院等が100件となります。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患に対するカテーテル検査 72 3.42 3.07 1.39 72.67
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈ステント留置術 52 6.19 4.87 0.00 72.62
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患に対するカテーテル検査(心筋血液予備能検査を伴うもの) 40 4.68 3.22 0.00 72.83
 循環器内科では、成人循環器疾患として最も重要な虚血性心疾患の診断と治療を中心に、高血圧、脂質異常症、末梢動脈疾患などの全身の動脈硬化疾患を循環器医療部門全体で取り組んでいます。さらに心不全、心筋症、血栓塞栓症など成人循環器疾患全般を幅広く診療しています。また国内初の腫瘍循環器外来を平成22年に開設。がんと循環器の両者が重なった領域に対する診療を行い、循環器合併症を有する難治性がん症例に対して臨床腫瘍科や他の各科と連携し集学的治療を目指しています。さらに人間ドック部門と連携し、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の早期発見および治療を目的とした疾病発症1.5次予防に関する診療を始めています。 当科では主に虚血性心疾患に対する診療を行っています。「虚血」とは「血がない状態」を意味し、心臓に十分血がいきわたっていない状態が「虚血性心疾患」です。この疾患に対し、心臓カテーテル検査や経皮的冠動脈ステント留置術等を行っています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫の化学療法 137 12.07 17.69 0.00 66.00
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫の化学療法(輸血等あり) 16 24.75 36.93 0.00 60.94
130030xx99x00x 非ホジキンリンパ腫の治療 16 11.38 10.85 0.00 67.75
 血液内科は、血液がんの治療を専門としています。急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍の診断と、化学療法、分子標的療法、放射線療法、同種造血幹細胞移植を組み合わせた集学的治療を行っています。当科では非ホジキンリンパ腫に対する化学療法の症例が豊富です。非ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫(血液のがんのひとつで、白血球中のリンパ球が、がん化したもの)の一種で、病理検査により診断されます。
 治療は、主に化学療法あるいは放射線治療となります。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx04x0xx 胃がんの内視鏡的胃・十二指腸ポリープ・粘膜切除術 359 7.91 9.20 0.00 71.55
060010xx02x00x 食道がんの内視鏡的食道粘膜切除術等 228 7.78 10.17 0.00 68.38
06007xxx99x00x 膵がん等の治療 209 8.17 10.10 1.91 65.83
 消化器内科は消化管内科と肝胆膵内科に分かれており、それぞれ主として胃がん・食道がん・大腸がん、肝臓がん・膵臓がん・胆管がん等を専門にしています。
消化管内科では消化器がんを早期に発見し、外科手術によらずに根治することを目指し、食道・胃・大腸の早期がんに対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)やポリペクトミー、光線力学(レーザー)療法(PDT)を精力的に行っています。肝胆膵内科では、ウイルス性慢性疾患に対するインターフェロン治療や肝硬変の肝予備能改善などを通して、慢性肝疾患からの発がん予防に力を入れる一方、肝臓がんの早期発見、早期治療を目指しています。また難治がんの代表とされる膵臓がんの診断には特に積極的に取り組んでいます。
 胃の悪性腫瘍に対する内視鏡的胃・十二指腸ポリープ・粘膜切除術を行う症例が最も多く、次いで食道の悪性腫瘍に対する内視鏡的食道粘膜切除術を行う症例となります。また膵臓がんの症例数も多くなっています。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx99x6xx 乳がんの化学療法 60 3.65 4.39 0.00 55.83
060020xx99x30x 胃がんの化学療法 54 9.81 6.67 0.00 67.59
060040xx99x60x 大腸がんの化学療法 38 7.76 4.51 0.00 58.92
 腫瘍内科では、抗がん剤の適正かつ安全な施行を目標に、がん薬物療法専門医、がん化学療法認定看護師、がん専門薬剤師を配置し、各診療科と横断的にチーム医療として固形がんに対して抗がん剤治療を行っています。術前あるいは術後の抗がん剤治療、手術不能例や再発例に対するQOLの向上を目指した抗がん剤治療(放射線治療を含む)、あるいは外来での治療継続に向けての導入療法を行うことを目的としています。
 最も多い症例は、乳がんに対する化学療法となっています。次いで胃がん、大腸がんに対する化学療法の順になっています。
内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病の治療 15 15.67 15.35 0.00 69.60
100080xxxxxx0x その他糖尿病の治療 18.13
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患に対するカテーテル検査 3.07
 内分泌代謝科では、ホルモンや代謝異常を中心とした領域で診療に参画し、糖尿病・痛風の専門外来を行うとともに甲状腺疾患の治療にもあたっています。がん・循環器疾患で通院・入院されている方の内分泌代謝疾患の合併に対して組織横断的な療養支援体制を提供しています。
 当科では、2型糖尿病で診療を受けられた方が多数を占めています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 435 68 84 113 74 95 1 7
大腸癌 53 55 60 89 149 89 1 7
乳癌 244 201 42 18 7 110 1 7
肺癌 180 56 119 188 91 568 1 7
肝癌 18 36 46 11 75 197 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数について】
 胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の5大癌について、初発患者はUICC病期分類による患者数、再発患者数は平成27年度中に再発した患者数を示しています。患者数は延べ患者数です。
 ・「病期分類基準」は、UICC TNM分類を用いています。
 ・「版数」は、分類する際に用いたUICC病期分類の版番号です。第7版を用いています。
 ・「UICC病期分類」とは、UICC(国際対がん連合)が定めたもので、今回の入院で悪性腫瘍に対する治療が行われた場合に、治療前に得られた情報(血液  検査や画像診断など)に基づき、①T:原発腫瘍の広がり②N:所属リンパ節転移の有無と広がり③M:遠隔転移の有無により、Stage(病期)Ⅰ(早期)   からⅣ(末期)に分類しています。

 当センターでは、胃癌、乳癌、肺癌で早期であるStageⅠの患者さんの割合が多くなっています。StageⅢやⅣの患者さんも少なくはなく、様々な病期にある患者さんの診療にあたっていると言えます。再発が多い癌は、順に肺癌、肝癌、乳癌、胃癌、大腸癌となっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 21 11.81 60.81
重症度 1 22 14.77 66.95
重症度 2
重症度 3
重症度 4
重症度 5
不明
【成人市中肺炎の重症度別患者数等について】
・「成人市中肺炎」とは、成人の方が病院外で日常生活を送っている中で発症した肺炎のことです。
・「重症度」は数字が大きくなるほど重症であることを示します。重症度分類は、A-DROPスコア(日本呼吸器学会が定める成人市中肺炎診療ガイドラインにおけ
 る重症度分類によるスコア)を用いています。

 当センターの場合、患者数が多いのは、重症度0から1になります。平均年齢からは、当然ながら重症度が大きいほど年齢が高くなる傾向にあり、高齢者は重症になりやすいと言えます。また当センターは、がんと循環器疾患の専門病院ということもあり、入院の契機となった傷病名や医療資源を最も多く投入した傷病名が肺炎等の患者さんは多くありません。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 10 22.60 70.30 15.38
その他
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内
その他
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内
その他
【脳梗塞のICD10別患者数等について】
・脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示しています。
・最も医療資源を投入した傷病のICD10別に集計しています。ICDとは「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」のことで、死因や疾病の国際的な統計基準と して世界保健機関(WHO) によって公表された分類です。現在、その分類は第10版まで改訂されていることから「ICD10」と呼称しています。
・転院率について、退院先が他の病院・診療所への転院である場合で、転院患者数を全退院患者数で除した数字を転院率としています。

 最も多い症例は、発症日から3日以内の脳梗塞です。また平均年齢は70.3歳であり、高齢の患者さんが多いと言えます。当センターは、がんと循環器疾患の専門病院であることから、脳梗塞に関する症例は多くありません。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 127 2.61 10.00 0.00 65.44
K5291 食道悪性腫瘍手術(消化管再建手術を併施するもの)(頸部、胸部、腹部の操作によるもの) 65 5.40 21.45 0.00 64.35
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 53 2.79 9.40 0.00 64.08
 手術別延べ患者数は腹腔鏡下胃切除術、再建併施食道悪性腫瘍手術、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術の順になっています。当科では患者さんにとって身体的負担の少ない腹腔鏡下での手術を積極的に施行しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 143 3.27 11.45 0.00 67.31
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 46 3.61 9.07 0.00 67.70
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 38 2.95 11.84 0.00 65.61
 呼吸器外科では肺がんを中心に転移性肺がん、縦隔腫瘍などの手術を専門的に行っております。手術別延べ患者数は胸腔鏡下肺切除術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)、胸腔鏡下肺部分切除術、胸腔鏡下肺区域切除術の順になっております。胸腔鏡下手術が大半を占めており、患者さんの負担軽減に努めています。
乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 237 1.20 2.69 0.00 55.83
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 85 1.27 9.49 0.00 57.34
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの)) 43 1.19 12.05 0.00 57.56
 乳腺外科では主に乳がんの手術を専門的に行っています。手術別延べ患者数は乳房部分切除術(乳房温存手術)、乳房切除術(腋窩郭清を伴わない)、乳房切除術(腋窩郭清を伴う)の順になっています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0311 四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術(下腿) 55 2.69 23.20 0.00 59.96
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(下腿) 41 1.27 5.59 0.00 50.98
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 16 1.25 12.31 0.00 43.13
 整形外科では骨軟部腫瘍の治療を専門としています。手術別延べ患者数は四肢・躯幹軟部悪性腫瘍、四肢・躯幹軟部腫瘍手術の順になっています。他診療科と比較して、患者さんの平均年齢が低いことが特徴のひとつです。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 68 5.12 15.28 7.35 60.60
K171-2 内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術
 脳神経外科では脳腫瘍に特化した脳神経外科治療を提供しています。手術別延べ患者数は脳腫瘍摘出術68件となっています。2位以下は10症例未満のため表示していません。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 54 1.52 5.78 0.00 67.31
K020 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの) 47 3.43 31.32 0.00 65.83
K395 下咽頭悪性腫瘍手術(頸部、胸部、腹部等の操作による再建を含む。) 33 4.55 33.73 0.00 65.67
 耳鼻咽喉科では頭頸部がん(舌がん、咽頭がん、喉頭がんなど)の治療を専門的に行なっています。手術別延べ患者数は下咽頭癌に対する内視鏡的粘膜切除術が最も多く、次いで多くの頭頸部がんの再建術である遊離前外側大腿皮弁による再建術となっています。このように形成外科の協力によりがんの広範囲切除後の再建術を行ない、機能や形態を温存し、患者さんのQOL(生活の質)が維持できるよう努めています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 120 2.52 4.93 0.00 70.84
K843 前立腺悪性腫瘍手術 102 1.81 10.14 0.00 67.28
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 38 2.08 10.16 0.00 66.08
 泌尿器科で最も多い手術は、膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)です。膀胱腫瘍は、膀胱に出来た腫瘍のことですが、そのほとんどが悪性腫瘍です。
膀胱癌は大きく分けて上皮内癌、表在性膀胱癌、浸潤性膀胱癌の3種類のタイプが存在します。この手術は、表在性膀胱癌に対するものとなり、根治を期待して行います。腰椎麻酔により、尿道から膀胱に内視鏡を入れて観察し、電気メスで腫瘍を切り取るまたは焼き尽くす方法です。手術には生理食塩水を用います。
次いで件数が多い手術は、前立腺悪性腫瘍手術です。前立腺は膀胱の出口にあり、膀胱の出口から尿道を取り囲むようにある臓器です。この手術は前立腺を全部とってしまう根治を目指す治療です。また当センターでは手術支援ロボットの「ダヴィンチ」を用いて腹腔鏡下の手術を行っており、より繊細な手術ができるようになりました。出血量は少なく、退院時尿失禁の軽減、早期の社会復帰が確認できています。今後、更なる手術成績の向上を目指していきます。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K867 子宮頸部(膣部)切除術 167 1.35 1.25 0.00 40.26
K879 子宮悪性腫瘍手術 103 2.16 12.51 0.00 53.63
K889 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側) 40 3.00 12.50 0.00 56.70
 婦人科では大阪府内の婦人科がん治療の中核として、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの患者さんの治療を特に多く診療しています。
手術別延べ患者数は子宮頚部円錐切除術、子宮悪性腫瘍手術、卵巣悪性腫瘍手術の順になっています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 53 2.58 3.79 0.00 72.08
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他のもの)
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合)
 循環器内科では、経皮的冠動脈ステント留置術を行っています。心臓カテーテル検査(冠動脈造影)の結果、責任病変(冠動脈が狭くなり血の巡りが悪くなっている部位)に対して。ステント(血管などを内側から広げるために用いられる、金属製の網状の筒)を留置する術式を施行します。治療部位は、血管内超音波検査などにより病変の確認を行い、病変形態に合った治療を行います。糖尿病などを合併して再狭窄を起こす可能性が高い場合には薬剤溶出性ステントを積極的に用いています。循環器内科でこの手術を受けられる患者さんの平均年齢は70歳超であり、高齢者が多いと言えます。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 338 1.59 5.42 0.00 71.63
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 178 4.73 10.49 2.81 67.35
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 163 1.59 5.34 0.00 67.82
 消化器内科では、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術)を最も多く施行しています。この手術は、まず針状メスを用いて病変部の周囲をマーキングし、次に粘膜下に生理食塩水を注入して盛り上げます。次に高周波ナイフなどを用いて病変部の全周を粘膜切除し、それから、粘膜下層を剥離して切除するものです。内視鏡的胆道ステント留置術は、いわゆる胆道ドレナージの一つです。様々な素材のチューブを、胆汁の流れが悪い部分に設置するものです。 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術)は、内視鏡を用いた早期食道がんに対する治療法の代表的なものです。内視鏡を用いるため体の負担が少なく、早期の社会復帰が可能です。手術内容は、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術)と同様になります。
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 62 4.15 4.08 0.00 59.87
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 10 5.40 15.40 20.00 54.70
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合)
 化学療法を行う際に、CVポート(皮下埋め込み型ポート)と呼ばれる器具を設置することがあります。皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用しますが、臨床腫瘍科で最も多い症例は、その器具を埋め込むための手術です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 13 0.12
180010 敗血症 同一
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 25 0.23
異なる
【その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)について】
・「DIC(播種性血管内凝固症候群)」とは、正常な血管内では血液中の抗凝固因子により、血液は凝固しないようになっていますが、重度の基礎疾患(悪性腫瘍や感染症など)により血液凝固反応が全身の血管内で無秩序に発生する疾患です。
・「敗血症」とは、感染症の原因である細菌やウイルスなどが血液中に入り込むことで発生する疾患です。
・「真菌感染症」とは、人体に真菌(カビの仲間の総称)が侵入し、定着することで発生する疾患です。
・「手術・処置等の合併症」とは、手術や処置等が原因となって発生することがある疾患です。
・「入院契機」について、入院患者さんには、診療報酬を請求する病名(DPC病名)と入院の契機となった病名(入院契機病名)がつけられています。DPC病  名と入院契機病名が「同一」か「異なる」かにより症例数の集計を行っています。「同一」の場合、診療内容がDPC病名と入院契機病名が同一であることを示して います。「異なる」場合、診療内容がDPC病名と入院契機病名が異なっており、入院中の診療がDICや敗血症などの診療になったことを示しています。
・「発生率」について、全退院患者数に対する発生率を示しています。

 手術・処置等の合併症について、合併症は手術や処置等を行うことで、ある一定の割合で発生してしまうものであり、医療ミスではありません。その内訳は、術後感染症や内視鏡手術後の出血などです。
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