食道がんの進行度診断への応用で世界初「内視鏡診断AI」を開発
Press Release
2019年5月16日
食道がんの進行度診断への応用で世界初※1
「内視鏡診断AI」を開発
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地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(以下、当センター)の消化管内科(医師 中川健太郎及び同科主任部長 石原 立らのグループ)は、株式会社AIメディカルサービスと共同で「内視鏡診断AI」を開発し、これが食道がんの進行度診断(がんが食道内でどの程度広がっているか)に有効であることを世界で初めて ※1国際誌で明らかにしました。この成果は、米国の国際的な消化器内視鏡雑誌である「Gastrointestinal Endoscopy」に掲載されました。
食道がんはかつて、治療成績が最も不良ながんのひとつでしたが、治療方法の進歩によりかなり改善されてきました。しかし、手術に加えて放射線治療、薬物治療も合わせた大掛かりな治療が必要で、患者さんにとって負担がとても大きいがんであり、近年増加傾向にあります。
一方、早い段階(進行度)で見つかるケースも増えてきており、そのような食道がんは内視鏡を用いた患者さんに負担の少ない治療だけで高い治療成績が得られることが明らかになってきました。
食道がんは、その進行度により治療方針が決まるので、進行度を診断することは極めて重要です。その診断には主に内視鏡を用いますが、医師が正確に行えるようになるには、十分な経験が必要です。
食道がんの内視鏡的食道粘膜切除手術等において日本で第1位(2017年度)※2の治療実績を有する当センターでは、過去10年以上にわたり蓄積してきた10,000枚以上の食道がん内視鏡画像を用いて、「内視鏡診断AI」を作成しました。この診断精度を検証した結果、正確な食道がんの進行度診断を行えた割合は、経験豊富な専門医による診断 ※3に匹敵するものでした。
この「内視鏡診断AI」が普及すれば、“医師の診断能力によらず、今よりも均一で高水準の診療を提供できるようになる”ことが期待できます。
※1「食道がんの進行度診断における内視鏡診断AIの応用」に関する記事が国際誌に掲載されたのは世界初。
※2「病院情報局」2017年度 傷病別全国統計 食道の悪性腫瘍(頸部を含む)の内視鏡的食道粘膜切除等を行った患者数。2019年2月13日に厚生労働省の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会から公表された、平成29年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告データをもとに算出。
※3 近畿地区で消化器がんの診療に従事する内視鏡専門医16人が、AIと同じ内視鏡画像を用いて進行度の診断を行った。
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