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がんの早期診断に有効なマーカーの検索、また化学療法や免疫療法、放射線療法などに抵抗性のがんも含めた新たな治療法の開発を行います。いずれも高度な基礎研究から臨床応用へと発展させることにより府民の健康と、ひいては我が国、世界のがん患者への貢献を目指します。

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口の中を見て、食道がんになりやすい人をみつける新手法を発見

Press Release

2020年10月15日

 

口の中を見て、食道がんになりやすい人をみつける新手法を発見

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 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(以下、当センター)の消化管内科 脇 幸太郎医師、石原 立内視鏡センター長らのグループは、食道がんの高リスク者に多く見られる口の粘膜の変化を見出し、消化器分野の国際的な専門誌「Journal of Gastroenterology and Hepatology」への掲載が、2020年9月28日に承認されました。

 食道がんの治療成績は極めて不良でしたが、近年、内視鏡診断や治療法の進歩によりかなり改善してきました。しかし、すべてを合わせた食道がん患者の5年生存率は40%程度にとどまっており、さらなる改善のためにはがんの早期発見が重要です。このためには、食道がんになりやすい人を見つけて、狭帯域光※1、拡大内視鏡※2やヨード染色などを用いた重点的な内視鏡検査を行う必要があります。食道がんになりやすいリスク因子として、飲酒、喫煙、フラッシング反応(少量の飲酒後に顔が赤くなる反応)などが報告されています。しかし、これだけでは不十分なので、さらに良い方法が必要です。

 そこで当センターは、誰でも簡単に観察のできる口の中の粘膜に着目し、その変化を見ることで食道がんになりやすい人を見つけられないか検討しました。口の中、のど、食道は連続していて、表面の粘膜は同じ細胞からできています。そのため、食道がんの患者さんは、のどや口の中のがんにもよくかかります。食道を検査するのは大変ですが、口の中は外から簡単に見ることができるので、詳しく調べると食道の変化と共通したものがとらえられ、食道がんになりやすい人が見つかると考えました。

 食道がんになったことのある人はまたかかりやすくなるので、この人たちを食道がんの高リスク群(151人)であると考え、食道がんになったことのない人(131人)と比べて、口の中の粘膜に違いがないか調べました。その結果、“粘膜の黒色変化”【図1】、“白色粘膜の付着”【図2】、“毛細血管の拡張”【図3】の3つの所見が高リスク群に有意に多く見られました。【表1】に示すように、これまで食道がんの危険因子とされてきた喫煙歴、飲酒歴よりも、この3つの所見の方が高リスク群で高頻度に認められることがわかりました。また、高リスク群では飲酒歴、喫煙歴に加えてこれらの所見を示す人がさらに多く見られることから、食道がんの高リスク者をさらに絞り込むことに有用で、食道がんの警告サインとして使えるものと考えています。

 口の粘膜は簡単に観察できるため、この結果は内視鏡検査時だけではなく、歯科診察時や健康診断時など多分野に応用が可能と考えます。この知見を発展させていけば、将来的に口の診察のみで詳細な食道がんのリスク分けができるようになるかもしれません。さらなる応用と発展を目指して、現在、この所見に対する解釈の自動化を行うべく、バイオニクス株式会社が保有する血管認証技術を応用した診断システムを開発中です。今後この所見が、食道がんの高リスク者を簡便、効率的に抽出でき、結果として食道がんの早期発見につながることが期待されます。

 

※1 狭帯域光観察は、粘膜表面の細かな構造や微小な血管のコントラストを強調した観察が可能とする技術。消化管の観察に用いる光の波長を適切に短くする(狭帯域特性に変更する)ことで、がん内部の拡張した血管が強調され、食道がんが茶色の領域(Brownish area)として視認されやすくなる。

※2 拡大観察では、スコープの先端に取り付けた2枚のレンズを調整することで、光学的に拡大して対象物を観察する。狭帯域光観察と併用することで、より細かな表面構造や血管が評価可能になり、腫瘍と非腫瘍を見分ける精度が向上することが多くの研究で報告されている。

 

【表1】 食道がん高リスク群で高頻度に見られる因子・所見

因子・所見 一般集団に対する比率
飲酒歴 2.2倍
喫煙歴 1.4倍
飲酒+喫煙歴 2.8倍
粘膜の黒色変化 3.3倍
白色粘膜の付着 4.3倍
毛細血管の拡張 2.8倍
飲酒 + 喫煙歴 + 粘膜の黒色変化 7.2倍
白色粘膜の付着 12.1倍
毛細血管の拡張 19.1倍

※飲酒歴あり:週に5日以上の飲酒習慣がある方

※喫煙歴あり:1日の喫煙本数×喫煙期間(年)が600以上の方

 

【図1】 粘膜の黒色変化

a, 正常な粘膜 通常の観察 b, 粘膜の黒色変化(黄色矢頭) c, 粘膜の黒色変化 拡大像

 

【図2】 白色粘膜の付着

a, 正常な粘膜 狭帯域光※2観察 b, 白色粘膜の付着(黄色矢頭) c, 白色粘膜の付着 拡大像

 

【図3】 毛細血管の拡張

a, 正常な粘膜 狭帯域光※2観察:表面の毛細血管(上皮乳頭内ループ状血管)は拡張しておらず、ほとんど確認できません。
より深い位置にある、木の枝様に分岐する血管(樹枝状血管)が透けて見えます。
b, 部分的な毛細血管の拡張:表面の毛細血管(上皮乳頭内ループ状血管)が部分的にドット状に拡張し密度も高くなっています。
C, 全体的な毛細血管の拡張: 表面の毛細血管(上皮乳頭内ループ状血管)が広い範囲で全体的にドット状に拡張し密度も高くなっています。

 

* バイオニクス株式会社

設立    2001年1月29日
本社    大阪市中央区本町1丁目2-1 本町リバーサイドビル2F
電話番号  06-6267-2527(Fax 06-6267-2921)
東京事務所 東京都千代田区丸の内1丁目5―1 新丸の内ビル10F Egg Japan内
代表者   須下 幸三(すした こうぞう)
資本金   1億8000万円
事業内容  血流認証技術(血管形状を活用した生体認証技術)の開発およびシステム販売
技術特性  近赤外波長領域の発光素子を活用し、指内末梢血管画像を撮像し、独自の画像処理技術
      および個人特定アルゴリズムを搭載し個人特定を実現する一連の技術
市場特性  創業以来、主に住宅市場(分譲・賃貸集合住宅、戸建て住宅等)のセキュリティシステム市場

 

<本研究との関係性>

創業以来、住宅市場を中心に血流認証技術およびそのシステムを開発、販売を行ってきた。住宅市場は法人や官公庁のような一定年齢層のみを認証対象とするのではなく、下は6歳の園児から上は90歳前後の方まで、さまざまな属性の方を高い精度で認証する必要がある。そこで要求されるのが精緻な血管画像の撮像技術と画像処理技術である。
今般の研究においては、今まで研鑽を積んできた血管画像の撮像技術と画像処理技術を応用し、高い確度でがん発生リスクを早期に発見するシステムの確立を大阪国際がんセンターと共に目指している。

 

【お問い合わせ先】

TEL 06-6945-1181(内線5104)

事務局 総務・広報グループ

受付時間:平日9:00~17:30

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