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がんの早期診断に有効なマーカーの検索、また化学療法や免疫療法、放射線療法などに抵抗性のがんも含めた新たな治療法の開発を行います。いずれも高度な基礎研究から臨床応用へと発展させることにより府民の健康と、ひいては我が国、世界のがん患者への貢献を目指します。

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当センターの基本方針のひとつである「先進医療の開発と実践」を実現するために、企業主導および医師主導の開発治験を推進し、当センター独自の臨床研究の支援を行っています。また2018年からは、認定臨床研究審査委員会を置き、センター内外の特定臨床研究の審査も実施しています。

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1962年から継続している大阪府がん登録を基盤に、大阪府がん対策推進計画など、科学的根拠に基づくがん対策の立案および進捗管理で大阪府と協働することに加え、病院や研究所等とともに大阪国際がんセンターを構成する柱の一つとして、その理念の実践に取り組んでいます。

新型コロナウィルス感染症パンデミックの2020年、大阪のがん患者数が前年より減少

Press Release

2022年5月11日

 

新型コロナウィルス感染症パンデミックの2020年、

大阪のがん患者数が前年より減少

6.9%減少と全国平均4.6%減少より大きく

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 大阪国際がんセンターがん対策センターの宮代勲所長は、大阪府がん診療拠点病院から構成される大阪府がん診療連携協議会の活動として、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が大阪のがん医療に及ぼした影響について調査を行いました*1
 年始に初の新型コロナウィルス感染が確認された2020年とその前年の2019年に各がん診療拠点病院で新たに診断されたがん患者が調査対象であり、協力が得られなかった1病院を除く66病院から提出された167,726例を分析対象としました*2

(1)新たにがんと診断された数*3
 2020年に大阪府下のがん拠点病院で、新たにがんが見つかった患者数(80,869例)は前年(86,857例)比で6.9%減少となりました。国立がん研究センターから報告のあった全国の院内がん登録実施病院594施設の集計では4.6%減少であり、大阪府では減少幅が大きかったと考えられます。2020年4月から5月に第1波コロナ禍と第1回緊急事態宣言が発出され、5月の前年同月比は26%減少となりました。第2波が収まった10月には前年同月比で3.5%増加となりましたが、第3波に入った11、12月は再び減少しました(前年同月比:11月5.4%減少、12月9.6%減少)(図1)。大阪府の8つの二次医療圏別にみると、中河内医療圏が前年比12.3%減少と最大で、その他の7医療圏では1割未満の減少に留まっている結果となりました。
 住民検診が行われている胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つの中では、胃がん(前年比12.7%)の減少が最も大きく、乳がん(3.7%減少)の減少は比較的少ないという結果でした。
 患者の住所別にみると大阪府は前年比6.3%減少でしたが、和歌山県は4.6%減少に留まり、京都府8.8%、滋賀県10.6%、兵庫県12.2%、奈良県13.7%減少となりました。近畿2府4県外については25.3%の減少と減少幅が大きくなりました。

(2)治療を受けた患者数と治療までの期間
 167,726人の患者のうち、自施設で初回の治療を行った134,528人を調べました。2020年に外科手術を受けた患者数(32,785例)は前年(35,077例)比で6.5%減少となり、(図2)第1波と第1回緊急事態宣言の影響を受けたと考えられる2020年5月の外科手術数は前年同月比27%減少となりました。内視鏡治療の数は、2020年(10,318例)は前年(11,270例)比で8.4%減少となり(図3)、外科手術よりも減少が大きくなりました。
 2020年の胃がんの手術数は前年比14.1%減少で、見つかってから治療を受けるまでの日数は45.7日(2019年)から40.9日(2020年)に短縮し、大腸がんの手術数は前年比6.5%減少、治療までの日数は35.5日(2019年)から31.6日(2020年)に短縮しました。

 2021年には感染者がさらに増加し、大阪府の医療提供体制が逼迫状態となり、新型コロナウィルス感染者はいうまでもなく、一般医療における入院が円滑に行われない事態となりました。第4波では、人工呼吸器や集中治療室が不足したため、がん専門病院の集中治療室でもコロナ患者の治療を受け入れざるをえなくなり、集中治療室を必要とするがん医療に制約を生じました。2021年以降についても、今回の取り組みを継続することが重要であると考えています。

 当センターは、これからも都道府県がん診療連携拠点病院として、大阪府がん診療連携協議会の活動に取り組んでまいります。

【お問い合わせ先】

TEL 06-6945-1181(内線5101/5104)

地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター

事務局 総務・広報グループ

受付時間:平日9:00~17:30

【注釈】

※1 「新型コロナウィルス感染症がリアルワールドのがん医療に及ぼした影響:がん登録を基盤とした調査」を、令和3年度大阪府がん対策基金企画提案型公募によるがん対策貢献事業として実施し、2022年3月に報告書を大阪府に提出した。

※2 各がん診療拠点病院で院内がん登録データと診療情報データの一種であるDPCデータから対象ケースを抽出・匿名化・暗号化したものを提出した。

※3 院内がん登録データは匿名であり、拠点病院間で重複が生じることから合計時の解釈には注意が必要です。がん診療拠点病院がその指定要件として提出する院内がん登録は、新たな診断者数確定のために集約作業を要する全国がん登録よりも集計が早く、がん診断に関する詳細な情報を有している。

 

図1 新たにがんと診断された数と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と診断された数

新たにがんと診断された数と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と診断された数

図2 外科手術件数の推移(全てのがん)

外科手術件数の推移(全てのがん)

図3 内視鏡治療数の推移(全てのがん)

内視鏡治療数の推移(全てのがん)

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