【プレスリリース】患者に対する負担が少なく、高い治療成績が期待できる転移性脳腫瘍に対する新しい放射線治療技法「ハイパーアーク治療」を開始

Press Release

2019年6月7日

 

患者に対する負担が少なく、高い治療成績が期待できる

転移性脳腫瘍に対する新しい放射線治療技法「ハイパーアーク治療」を開始

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 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(以下、当センター)の放射線腫瘍科(同科主任部長 手島昭樹らのグループ)は、2017年より株式会社バリアンメディカルシステムズ(東京都中央区日本橋兜町5番1号)と共同で検証を進めてきた、体のがんが脳に転移する転移性脳腫瘍に対する新しい放射線治療技法「HyperArc(ハイパーアーク)治療」をこの度、西日本で初めて※1行いました。「ハイパーアーク治療」は、従来までの病変部だけに高線量を投与する定位放射線治療※2と比較して、病変部だけに高線量を投与しながらも、正常の脳への線量をより低減できる治療法であることが当センターにおける検証の結果、明らかになりました。この成果は世界に先駆けて、英国の国際的な放射線腫瘍雑誌である「Radiation Oncology」に掲載※3されました。また、当センターが提供する「ハイパーアーク治療」の質は、転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療※2において広く用いられるロボット型装置※4の質に匹敵することを明らかにし、この成果は、英国の国際的な放射線科雑誌である「British Journal of Radiology」に掲載予定※5です。

 

 かつて不治の病とまで言われたがんは、医療の進歩により治療成績が向上してきました。その結果、長期生存する患者が増加する一方で、最初にできたがん病巣は治癒するも、がん細胞が他の臓器で病変を作る転移が増えており、特に転移性脳腫瘍は麻痺や意識障害などの症状を表わすため大きな問題となってきています。その治療法として、転移性脳腫瘍を手術で切除するのは容易ではありませんし、薬は脳へ届きにくいことから、放射線治療に大きな期待が寄せられています。しかし、今までの放射線治療では、脳全体に照射することにより、正常の脳が障害を受けて認知機能の低下が起こることがありました。

 

 最近では、放射線治療技術の飛躍的な発展によって、病変部だけに高線量を投与し、正常の脳に照射する線量を低減できる定位放射線治療※2が開発され、優れた治療成績が報告されてきました。しかし、従来の定位放射線治療※2では、医師、医学物理士が連携して精度の高い緻密な治療計画を作成しなければならず、それには十分な知識と経験が必要であり、治療計画の策定に時間を要してしまいます。

 

 一方、「ハイパーアーク治療」では、診療放射線技師が治療室内に入らず遠隔操作により自動で装置を動かすことが可能で、病変部に対して350以上もの方向から最適な放射線強度を自動で解析、照射を行うことにより、以前よりも短時間で治療計画、照射を行うことが可能となりました。さらに、「ハイパーアーク治療」を行うにあたり、当センターは、米国カリフォルニア大学において定位放射線治療※2のエキスパートである医学物理士の先生(准教授)と、オーダーメイドマスクの作成方法、CTやMRIの撮影条件、治療計画作成法や放射線治療装置における日々の精度管理、治療中の患者のモニタリング方法など、さまざまな観点で議論と検証を重ねることにより十分な知見とノウハウを蓄積し、治療計画用CT撮影から「ハイパーアーク」治療開始まで、わずか数日という迅速な対応を実現しました。また、患者に対する負担をより軽減し、精度の高い治療を可能にしました。

 

 この「ハイパーアーク治療」を導入することにより医師や医学物理士の業務効率化が進み、急増する患者のニーズに応えることが可能となるため、従来よりも高水準の治療を提供できるようになることが期待できます。さらに当センターでは、独自の豊富な放射線治療実績を活かし、今後、頭頚部領域における「ハイパーアーク治療」の応用も進めていきます。

 

※1 2019年5月22日現在 転移性脳腫瘍に対する放射線治療技法「ハイパーアーク治療」において

※2 通常の外照射よりも高い精度で位置決めを行い、放射線を病変の形状に正確に一致させて3次元的に集中照射する放射線治療 周辺の正常組織の被曝を減らしながら病変に高い線量を照射することが可能

※3 2018年1月29日発刊13号に掲載

※4 さまざまな方向から放射線を照射するロボットアームを有する放射線治療装置

※5 2019年5月15日に採択

 

Varian (バリアン) について

 

Varian は、米国カリフォルニア州パロアルトに本社を置く、放射線治療分野におけるリーディングカンパニーであり、包括的ながん医療におけるトータルソリューションを開発、提供しています。「 A world without fear of cancer -がんの脅威に負けない世界」をグローバルビジョンに掲げ、世界中の約7,000人の社員が一丸となり、人と技術と情報をつなぐ革新的なソリューションによって、患者さん中心の「人にやさしいがん医療」の実現に貢献します。

 

 

別紙 参考資料

 

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