「口腔がん」の罹患状況と推移を分析 増加傾向だが早期の割合も上昇

Press Release

2020年5月1日

 

「口腔がん」の罹患状況と推移を分析

増加傾向だが早期の割合も上昇

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 大阪国際がんセンター(以下、当センター)のがん対策センター疫学統計部は、大阪府がん登録を用いて、口の中にできる口腔がんの患者数と推移を分析し、成果を2020年4月7日に、Oral oncologyという国際誌に論文発表しました。口腔がんは発生率が少ないがん(希少がん)で、通常は口腔・咽頭がんと一括して集計されて報告されており、詳細がわかりませんでした。口腔がんだけを分析したこの報告は極めて貴重なデータとなります。

 大阪府での口腔がんの登録数を5年ごとにみると、1301(2000-2004年)、2084(2005-2009年)、2701(2010-2014年)と増加しており、高齢者(55.6-65.0%が65歳以上)、男性(約60%)に多い傾向がありました。部位別では舌(30.4-43.8%)、歯肉(歯ぐき)(30.7%-34.7%)に多く見られました。年齢構成を一定とし、高齢化の影響がないと仮定した場合に人口10万人あたりに口腔がんにかかる人の数は、2000年に2.1だったのに対して、2014年は3.8と増加していることがわかりました(下図の折れ線グラフ)。しかし一方で、全がんに対する口腔がんの割合は最小で0.67%(2001年)、最大で1.00%(2008年、2012年)と大きな変化はありませんでした(下図の棒グラフ)。がん登録への届出数が増加した期間でもあり、罹患報告が増えたことの反映である可能性も考られます。

 早期のがんである限局がんの割合は、2000-2004年の43.0%から2010-2014年では53.7%と増加していました。歯科診療で予防が重視されるようになり、定期受診の割合が増えたために多くのが早期に発見されている可能性が考えられます。

 喫煙や飲酒が主要因である口腔がん。禁煙や飲酒を控えるなどの予防とともに、早期発見のため、かかりつけ歯科で定期健診を受診することをお勧めいたします。

 

 

 

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