第62回 熱中症対策〜疲労回復スタミナメニュー〜
梅雨頃より、熱中症にかかる人のニュースをよく耳にします。そこで、今回は熱中症をテーマに取り上げてみました。
熱中症を予防するためには、こまめな水分補給と体調管理が大切です。夏バテで食生活が乱れがちになりやすい時期ですが、食生活を整えることは血糖コントロールを安定させるだけでなく、様々な病気の予防にもつながります。今回は暑い夏でも食べやすく、そして疲労回復効果のあるビタミン等を多く含む食材を取り入れたお弁当を紹介しました。お家でも簡単にできますので参考にしてみてください。
ミニ雑学では『熱中症』について調べました。
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ミニ雑学:熱中症とは
- 熱中症とは
- 高温・高熱にさらされたり、激しい運動を行ったりした時など体の外と中の”あつさ”によって引き起こされる様々な体の不調です。
脈が早くなる、めまい、頭痛、吐き気、手足の痙攣などの症状があり、重症例では意識障害、場合によっては死に至ることもあります。体温調節機能が十分に発達していない子どもや、低下している高齢者は特に注意が必要です。 - ◆熱中症の起こりやすい時期
- 熱中症は梅雨入り前の5月頃から起こりやすくなり、梅雨明けの7月中旬から8月上旬に多発する傾向があります。特に梅雨明けしたばかりで身体が暑さに慣れていないときや、前日よりも急に気温が上昇した場合、高温、多湿、日差しが強いときなどに起こりやすいといわれています。
- ◆熱中症の予防法
- ・十分な水分補給をこまめに行う。
・スポーツや屋外での激しい運動などで大量の汗をかく場合や玉のような汗を長時間かく時は、0.1%〜0.2%の食塩水(1リットルに1g〜2gの食塩を混ぜた水)を補給する。
・睡眠を十分にとり、体調を整える。
・通気性のよい服装にする。
・十分な休憩を取りながら作業する。
日本人の食事摂取基準2010年版では食塩摂取の目標量が男性9.0g未満、女性7.5g未満(日本高血圧学会のガイドラインでは6g未満)に対して、平成20年の国民健康・栄養調査報告によると、20歳以上の平均摂取量は男性で11.9g、女性で10.1gと、摂取目標量を上回る量を普段の食事で摂取しています。ですので、日常生活でジワジワと汗をかく程度の場合は、意識して塩分を補給する必要はありませんが、水分はこまめに補給しましょう。
【体調管理はまず規則正しい食生活から】
暑さで食欲が低下しがちなこの時期ですが、食生活が乱れてしまうとからだの調子を整えるビタミンやミネラルまで不足してしまい、中でもビタミンB1が不足すると、糖質を摂取してもエネルギーに変えることができず、乳酸などの疲労物質がたまって疲れやすくなり、夏バテや熱中症にかかりやすくなってしまいます。ビタミンB1を多く含む食材にはうなぎや豚肉があり、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣ができたのもこのことが背景にあります。
暑い夏の日では、食べやすい麺類だけで食事をすませてしまったり、あっさりしたものだけになりがちですが、そんなときは肉類や魚介類をトッピングすることでたんぱく源を取り入れたり、野菜をトッピングしてビタミン・ミネラルを補給するなど、できるだけ栄養が偏らないように工夫しましょう。また、料理を作るときは酢やレモンなどの柑橘類を使ってさっぱりとした和え物にしたり、香辛料をうまく利用したりして食欲を増進させるなど、調理法や味付けに変化をつけてみてはいかがでしょうか。
規則正しい食生活とは食事内容だけでなく、十分な睡眠、適度な運動をすることも重要です。これらのことも意識して暑い夏を乗り切りましょう。
レシピ
ここに掲載したレシピは、ご家庭でも手軽にお試しいただけるように、分量を目安で表示しています。実際の食事指導では、患者様ごとに厳密に栄養計算した料理をお出ししています。
一食分の栄養量合計
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うざくごはん
エネルギー136kcal、蛋白質5.1g、脂質3.4g、炭水化物20.5g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- 精白米1/6カップ、うなぎ(かばやき)1/8串、きゅうり1/5本弱、みょうが1/18個、しょうが小1/4個、酢小さじ2杯、しお小さじ1/10杯、サラダ菜1枚
- ■ 作り方
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- ① 鍋に酢としおを入れて火にかけ、沸いたら火を止める。二杯酢の出来上がり。
- ② うなぎ(かばやき)は、5g×3個に切り170℃のオーブンで10分程度焼く。
- ③ きゅうりは小口切りにしてしおでもみ、水で洗い流してよく絞っておく。
- ④ みょうがとしょうがは、せん切りにして水によくさらしておく。
- ⑤ ごはんと二杯酢をよく混ぜ合わせる。きゅうり、みょうが、しょうがを加えてさらに混ぜ、器に盛り付けてうなぎを上に散らす。
豚肉の香味味噌ロール焼き
エネルギー110kcal、蛋白質15.1g、脂質2.5g、炭水化物5.2g
- ■ 材料 (分量・・・1人分)
- ぶた肉(ヒレ)20g×3枚、みそ小さじ1杯弱、酒小さじ1/2杯弱、葉ねぎ15cm程度、ごま小さじ2/3杯、さとう小さじ1/3杯、にんにく少々、しそ3枚、だいこん厚さ1cm程度、しそ1枚
- ■ 作り方
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- ① ぶた肉(ヒレ)は肉たたきで均等に伸ばしておく。
- ② 鍋にみそ、酒、にんにく、さとうを入れて煮溶かし、すりごま、葉ねぎを加えて混ぜ合わせておく。
- ③ 肉にしそを1枚のせ、その上に作っておいた香味味噌を塗って巻き、つまようじでとめる。
- ④ 巻いた肉をフライパンで軽く焼いて焦げ目をつけ、170℃のオーブンで6分程度焼いて中まで火を通す。
- ⑤ 焼き上がったら食べやすい大きさに切り、盛り付ける。だいこんをすりおろして、しそと一緒に添える。
冬瓜と長芋のひすい蒸し柚子銀あんかけ
エネルギー36kcal、蛋白質1.7g、脂質1.8g、炭水化物3.7g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- とうがん5cm×9cm程度、ながいも5cm×2cm程度、かたくり粉少々、うすくちしょうゆ小さじ1/2杯、かたくり粉小さじ1/6杯、青ゆず少々
- ■ 作り方
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- ① とうがんは皮をむいてわたを取り除き、皮に近い部分を5mm程度厚さのかつらむきにする。
- ② 5cm×9cmくらいの大きさに切り、丸めやすいように切りこみを入れておく。
- ③ ながいもは皮をむいて5cmくらいの長さに切る。
- ④ とうがんにかたくり粉をつけて、ながいもを形よく包み、蒸し器で蒸す。蒸し上がったら器に盛り付ける。
- ⑤ 鍋にうすくちしょうゆとだし汁を入れて沸かし、水溶きかたくり粉を加えて銀あんを作る。
- ⑥ 盛り付けたひすい蒸しに銀あんをかける。
- ⑦ 青ゆずの皮をすりおろし、上からふりかける。
冷やしトマト寒
エネルギー9kcal、蛋白質0.3g、脂質0g、炭水化物2.2g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- トマト1/12個、パプリカ(赤)1/8個、水1/10カップ、粉寒天小さじ1/4杯、しお小さじ1/15杯
- ■ 作り方
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- ① トマトは湯むきをして半分に切り、種を取り除きざっくり切る。
- ② パプリカも皮をむいて種を取り、ざっくり切る。
- ③ トマトとパプリカをミキサーにかけて水としおを加え、鍋に移す。
- ④ 寒天を加えてよく混ぜ、火にかける。沸いたら火を止め、型に流し入れて冷やし固める。
- ⑤ 固まったら切り分けて盛り付ける。
モロヘイヤの梅肉和え
エネルギー20kcal、蛋白質1.5g、脂質0.1g、炭水化物3.4g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- モロヘイヤ1/5袋、えのきたけ1/10袋、梅干し(梅肉)1/2個、酒小さじ1杯、うすくちしょうゆ小さじ1/6杯
- ■ 作り方
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- ① モロヘイヤは軸の部分を切り捨てて茹でる。
- ② 水気を切って1cm程度の長さに切る。
- ③ えのきたけも1cm程度に切って茹でる。
- ④ 鍋に酒を入れて沸騰させ、梅干し(梅肉)、うすくちしょうゆを混ぜ合わせて火を止める。
- ⑤ モロヘイヤと水気を切ったえのきたけを合わせ、梅ダレで和える。
巨峰のくずまんじゅう
エネルギー27kcal、蛋白質0g、脂質0g、炭水化物6.7g
- ≪ 巨峰ジャム ≫
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- ぶどう(巨峰)1粒弱、低甘味料(0キロカロリー)小さじ1/3杯
- ■ 作り方
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- ① ぶどう(巨峰)は湯むきし、皮は捨てずにお茶パックに詰める。
- ② 鍋にぶどう(巨峰)の実と皮を入れて火にかける。
- ③ 潰しながら煮詰め、色が出てきたら皮を取り出す。
- ④ 水気がなくなってきたら、低甘味料を加える。
- ⑤ さらに煮詰め、固めのジャムに仕上げる。
- ≪ くずまんじゅう ≫
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- くず粉小さじ2杯、水1/5カップ弱、低甘味料(0キロカロリー)小さじ2/3杯、巨峰ジャム
- ■ 作り方
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- ① 鍋にくず粉と水を入れてよく溶かし、低甘味料を加えてさらに混ぜる。
- ② ①を火にかけてゆっくり混ぜながら加熱し、とろみがついてきたら火を止める。
- ③ ラップをしいた器に②を入れ、巨峰ジャムを真ん中に入れて茶巾に絞る。
- ④ ③を蒸し器で10〜15分蒸し、蒸し上がったら氷水に入れて冷ます。
- ⑤ 十分に冷めたらラップを取り外し、器に盛り付ける。