がんゲノム医療

がんゲノム医療とは

遺伝子情報に基づくがんの個別化治療のひとつです。
がんゲノム医療とは、個々の患者さんのがん組織における遺伝子変異(※1)を調べ、その情報に基づいて有効性が期待される治療を行うものです。

(※1)遺伝子変異:様々な要因により生じた遺伝子の塩基配列(遺伝情報)の変化

がん遺伝子パネル検査について

「がん遺伝子パネル検査」とは「がん細胞」に起きている遺伝子の変化を調べる検査です。
「がん遺伝子パネル検査」でがん細胞の特徴を知ることでそれに適した治療法を選択することができる可能性があります。
どのような遺伝子の変化が起こっているのかを知ることで、ある薬剤が「効きやすい」または「効きにくい」という効果を予測できることがあります。
がん遺伝子パネル検査の結果を参考にして新しい薬剤や治療法の治験・臨床試験への参加が検討されることもあります。
検査をしても、遺伝子に変化が認められないことや、遺伝子の変化が認められたとしても、それに適した薬剤がないことなど、「がん」の治療に直接役立たないこともあります。

※二次的所見について
がん遺伝子パネル検査では治療に役立つ情報とは別に「遺伝性腫瘍」の可能性が判明することがあります(二次的所見)
「遺伝性腫瘍」に関する結果の説明については、知る権利知らないでいる権利に基づきご希望を尊重しますのでよくお考えの上、ご決定ください。

パネル検査の種類

OncoGuideTMNCCオンコパネル(保険対象)

NCCオンコパネルはがんに関連した114遺伝子を調べます
【保険適応の対象となる患者】:下記1及び2に該当する方

  • 下記のいずれかの診断を受けた方

    ・標準治療がない固形がん患者

    ・局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)

  • 全身状態及び臓器機能等から、本検査の結果判明後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方

FoundationOneCDXがんゲノムプロファイル(保険対象)

FoundationOne(ファンデーションワン)はがんに関連した324遺伝子を調べます
【保険適応の対象となる患者】:下記1及び2に該当する方

  • 下記のいずれかの診断を受けた方

    ・標準治療がない固形がん患者

    ・局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)

  • 全身状態及び臓器機能等から、本検査の結果判明後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方

FoundationOne Liquid CDXがんゲノムプロファイル(保険対象)

FoundationOne Liquid(ファンデーションワン リキッド)は、血液検体を用いたがん遺伝子パネル検査で、がんに関連した324遺伝子を調べます
【保険適応の対象となる患者】:下記1~3に該当する方

  • 下記のいずれかの診断を受けた方

    ・標準治療がない固形がん患者

    ・局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)

  • 全身状態及び臓器機能等から、本検査の結果判明後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方
  • 以下のいずれかの条件により、⾎液検体を⽤いたがん遺伝⼦パネル検査が適切である

    ・医学的理由(適切な保存検体がない、かつ、新たな検体採取ができないなど)により、 腫瘍組織検体を⽤いたがん遺伝⼦パネル検査が困難である

    ・腫瘍組織検体を⽤いたがん遺伝⼦パネル検査を⾏ったが、包括的なゲノムプロファイルの 結果が得られなかった

費用について

健康保険が適用される場合、検査費用については合計56,000点(3割負担168,000円)お支払いを頂くことになります(検査結果の内容にかかわらずお支払いをお願いします)
(内訳:検査依頼時:44,000点(3割負担132,000円)+ 検査結果説明時:12,000点(3割負担36,000円)

大阪国際がんセンターのがんゲノム医療について

がんゲノム医療拠点病院

令和元年9月19日 がんゲノム医療拠点病院に承認されました。

当センターでは、遺伝子パネル検査の結果をエキスパートパネル(専門家会議)で検討し、その結果に基づいた治療の可能性について主治医(連携施設を含む)から患者さんへお伝えします。
また、がんゲノム医療中核拠点病院と協力して、臨床研究・治験の実施、新薬等の研究開発、がんゲノム関連の人材育成等を進めます。

パネル検査を希望される方へ

検査の流れ(当センターに通院中の方)

検査の流れ(当センターに通院中の方)検査の流れ(当センターに通院中の方)

※2:がんや遺伝子検査などの専門家で構成される検討会(この検討会を経て結果をお知らせいたします)
※3:検査結果のおしらせまでに約2か月かかります

患者さんおよびご家族からの直接のご予約は受け付けておりません。必ず、かかりつけ病院の主治医にご相談ください。
また、当センターのがんゲノム医療の診察は大変混雑しておりますので、できるだけお近くのがんゲノム連携病院において検査をしていただきますよう、お願いします。詳細は、各がんゲノム連携病院にお問い合わせください。

(大阪府下のがんゲノム医療連携病院)
大阪赤十字病院、大阪医科薬科大学病院、大阪市立大学医学部付属病院、関西医科大学付属病院、大阪医療センター、大阪急性期・総合医療センター、市立東大阪医療センター、大阪労災病院、 大阪南医療センター、堺市立総合医療センター、市立岸和田市民病院、市立豊中病院、和泉市立総合医療センター(下線は当センターの連携病院)

遺伝に関するカウンセリング

遺伝性の悪性腫瘍に関するカウンセリングと遺伝学的検査を行っています。遺伝的に特定の遺伝子に変異があることによって発症する家族性(遺伝性)腫瘍は、悪性腫瘍全体からみれば一部ですが(乳がんの場合、約10%)、遺伝子診断により、悪性腫瘍の発生部位をある程度予測できるため、早期発見につながり、場合によってはリスク低減手術(発症する前に切除する手術)などの措置を講じることができるなど、大きなメリットがあります。
一方で、遺伝性の疾患であることを知ることによる将来不安やご家族に対する責任、社会的差別への不安など、患者さんとそのご家族が受けるストレスも大きく、生涯にわたって、細かく手厚いケアが必要になります。
当センターではご相談に来られる方が自らの人生を前向きに歩んでいただけるよう、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーがお手伝いをしています。

患者さん・ご家族へのサポート

がんゲノム医療について相談をご希望の方は、相談支援センターにご連絡ください。ご相談は相談支援センターに直接お越しいただく方法と、電話でお話を伺う方法があります。対面での相談をご希望の方は、事前にお電話でのご予約をお願いします。
また当センターにはがんゲノムコーディネーター研修を修了した看護師も在籍しており、患者さん、ご家族からのお問い合わせに対応できる体制を整えております。
検査を受けるまでにご不明な点や、検査結果を受け遺伝に関してさらにカウンセリングを希望される際は主治医までご相談下さい。

場所:病院1階 がん相談支援センター
電話受付時間:平日 10時から16時
がん相談専門電話:06-6945-1870

地域の先生方へ

平素より大阪国際がんセンターの診療にご協力いただきありがとうございます。

遺伝子パネル検査(腫瘍検体、血液検体)のご依頼につきましては、「がん遺伝子パネル検査をご依頼いただく先生方へ」をご確認いただき、「がん遺伝子パネル検査の申込手順」に沿ってご依頼ください。

申込時に必要な各種書類のダウンロードは、以下よりお願いします。

① 診療予約申込書

②-A がん遺伝子パネル検査情報提供シート(腫瘍検体用)

②-B がん遺伝子パネル検査情報提供シート(血液検体用)

その他、診療情報提供書(紹介状)をご用意いただく必要がございます。

よくあるご質問

主治医にご相談下さい。当センターを受診されていない方はかかりつけ医にご相談の上、ご予約をお取りください。

患者本人に受診していただく必要があります。

過去に行った手術や検査(生検)で採取したがん組織を使います。検査の種類によっては採血も必要となります。

検査の種類にもよりますが約1か月半です。

治療に結び付く遺伝子変異が見つかるのは10%程度です。