患者交流棟について
当センターにおける患者ケアの現状
がんは過去には致死的な病気の代名詞でしたが、近年の著しい医療の進歩により治療が期待できるものとなりました。また日本人の2人に1人は生涯でがんを患う状況ではありますが、5年生存率が60%を超え、がんと共存しながら生きてゆく時代となりました。
当センターに来院される患者さんにとって、がんの治療はもとより、精神的・肉体的ケアはいずれ劣らぬ重要なことですが、諸々の事情により、患者さんへのすべてのケアが病院内で完結できないケースがあることも事実です。
患者交流棟の目的
こういった現状を踏まえ、これからがんの治療を受けられる方々、またがん治療を終えた患者さんの精神的・肉体的自立と社会復帰を継続的に支援するために、通院や治療を受けられた場所にできる限り近い至便な場所で、薬剤に関する情報や相談を受けることができる場、同じ悩みを持つ患者さん同士のコミュニケーションの場、運動指導を受けることのできる場の提供を主な目的として、この度、当センターの敷地内に3階建ての患者交流棟を建設いたしました。
(令和元年6月3日 入居するすべてのテナントによるサービスを開始)
患者交流棟の概要
1階には、医薬分業の規制の見直しを踏まえ、身体の不自由な方や高齢者への配慮など、患者さんの利便性の向上に寄与するため、民間の保険調剤薬局2件が設置されました。
2階には、がんを体験した人たちが悩みや不安を相談でき、自由に語り合える場と地域で活躍できる機会を提供するなど、がんの体験者・家族への支援事業、交流事業を展開する「NPO法人つながりひろば」が設置されました。
3階には、入退院前後のがん患者さんを主な対象に、がんの知識を有し当センターのリハビリテーション科より技術指導を受けた専門の運動指導員が治療前・中・後の運動支援を行うことにより、治療に向けた体力維持・増進や治療後の体力回復を図る「ルネサンス運動支援センター」が設置されました。
今後の課題と展望
諸々考えられる事情の中でもがん患者さんの生活の質(QOL)の維持・向上に関しては、現在でも大きな課題となっています。
特にがん患者さんの運動による効果としては、1)がんのリスクの低下 2)身体機能・精神機能の維持・向上 3)再発・死亡予防の可能性などが報告されているにも関わらず、ほとんどの患者さんは退院と同時に外来通院となり、以降はリハビリテーションから遠ざかってしまったり、がん患者さんへの運動指導には一定のリスクを伴うことから、これまで継続することが困難でした。
そこで、患者交流棟においては、この高いハードルを克服すべく、薬剤のみならず食事や栄養に関する指導や相談を気軽に受けることができる保険調剤薬局を設け、「NPO法人つながりひろば」では、がん患者さんやそのご家族、医療従事者が集まってランニングやウォーキングなどを積極的に行うことで、健康回復支援活動に努めています。また、「ルネサンス運動支援センター」においては、当センターのリハビリテーション科が、がん疾患やがん治療、リハビリに関する基礎知識と運動指導の知識と経験を有する専門トレーナーの養成に協力し、がん患者さんへの運動指導に当たっています。またこれらのサービス・ノウハウを世の中に広く浸透させることにより、がん患者さんがより良い生活を送るための一助になるのではないかと考えております。
これからも、患者交流棟に入居する施設同士が目的を共有しながら密な連携を行い、今後も患者さんの健康サポートと利便性の向上を目指して参ります。
<施設のご案内>
■つながりひろば(2F)
https://tsunagari-osaka.amebaownd.com/
■ルネサンス運動支援センター(3F)
https://cancer.s-re.jp/