後期臨床研修 乳腺・内分泌外科

乳腺・内分泌外科カリキュラムのご案内

1.はじめに

 日本人女性の乳癌罹患率は上昇の一途をたどっています。今や生涯罹患率は9人に1人になっていますが、欧米の後を追うように今後さらに増加することが予想されています。一方、治療に関しては、乳癌手術は従来の乳房切除に加えてこの20年間に、乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検、さらには同時乳房再建と、QOLの改善を目指す新しい手技が次々と導入されました。また、薬物療法も新規抗癌剤の他に次々と新しい分子標的治療薬が開発され、多くの臨床試験が行われています。今後さらに、個々の患者さんや腫瘍の遺伝学的情報にあわせた治療計画を立てる時代になっていくでしょう。乳癌治療は極めて複雑になっていて、幅広く高度な専門知識がないと対応できない状況になっています。

 このような状況において、個々の患者さんの病態を把握し、的確な治療の計画と実行を進めることのできるのが乳腺専門医です。とりわけ、初診から手術、再発治療、緩和ケアまでのすべてにかかわる乳腺外科医は、手術を主体としながらチーム医療の中心的存在として極めて重要な役割を担っています。男性、女性を問わず、社会と患者さんの期待を背負って、一生、勉強と修練を続ける厳しくも有意義な仕事です。

 関西トップレベルの手術症例を誇る当科での研修は、長い歴史に裏付けられたノウハウと最先端の技術を直に学んでいただけ、貴方のキャリア形成にきっと役立つものと確信しています。

2.コースの概要

 日本乳癌学会専門医制度の乳腺専門医(外科)取得を目指す方のための研修コースです。出身大学や経験は問いません。

 卒後5年目までの方は、まず日本外科学会外科専門医を取得する必要がありますので、消化器外科や呼吸器外科などをローテーションしながら、必要最低限の外科学全般に関する症例経験を積んでいただきます。すでにある程度の手術経験をお持ちの方は、足りない分のみの研修を行います。必要に応じて、連携施設での研修も組み入れます。すなわち、卒後年数や経験症例数、さらには将来の進路希望に合わせて、個々にプログラムを組み、最短期間で外科専門医の取得条件をクリアできます。残りの年数はすべて乳腺内分泌外科での研修となり、手術以外にマンモグラフィーの読影や超音波検査および超音波ガイド下針生検などの診断技術、術後補助療法、再発乳癌の治療や緩和ケアについても学んでいただき、外科専門医取得後最短で乳腺認定医、そして乳腺専門医を取得できる条件を満たします。病棟受け持ちが中心となりますが、経験に応じて外来も担当していただき、学会発表も行っていただきます。 

 卒後6年目以降の方で外科専門医をすでに取得している方は、乳腺外科での研修を集中的に行い、乳腺専門取得条件を満たせるようなプログラムを組みます。また、数ケ月単位の短期間集中型の乳腺外科のみの研修をご希望の方もお受けしています。

 

3.目標とする習得資格

  • 日本外科学会専門医制度 外科専門医
  • 日本乳癌学会専門医制度 認定医および専門医

4.長期目標

診断、手術、乳房再建、薬物療法、コミュニケーション、リーダーシップ、学会・研究活動と幅広く学んでいただき、将来、チーム医療の中心として独立して診療活動が行える乳腺専門医を目指していただきます。

5.習得手技

日本乳癌学会専門医制度カリキュラムに従って、下記の項目を習得していただきます。

 診断:問診。視触診。マンモグラフィー読影。超音波検査実施。MRI読影。

 検査:超音波ガイド下穿刺吸引細胞診および針生検、組織吸引術。

 インフォームドコンセント:術前、術後。

 手術:局所麻酔。良性腫瘍摘出術。乳癌に対する乳房部分切除術、乳房切除術、乳頭温存乳房切除 術、センチネルリンパ節生検。

 薬物治療:内分泌療法、化学量法、分子標的治療、および副作用対策

6.研修期間

1〜3年を原則としますが、キャリアプランによって、数ケ月単位での受け入れも可能です。希望に合わせて研修内容を決めます。

7.募集人数

2〜3名。希望者が多い場合は連携施設を含めて研修スケジュールを調整します。

8.診療科の手術件数、経験目標症例数

年間手術症例数(NCD登録データより)

 2021年 511件 

 2022年 575件 

 2023年 586件

経験目標症例数 

 年間100例以上の執刀(乳癌専門医取得必要症例数)

9.診療科の指導体制

日本乳癌学会専門医制度 乳腺専門医4名

10.コンセプト 

関西トップレベルの乳癌手術数と乳房再建数を背景に、全国的にも知名度の高い指導陣が直にそのノウハウを教授し、将来、関西そして日本の乳癌診療をリードしていける乳腺外科専門医を育てることを目指しています。

11.大阪国際がんセンター研修終了後

研修終了後の進路は、本人の希望を優先します。もし未定であれば相談にのります。

12.問い合わせ

乳腺・内分泌外科 主任部長  中山 貴寛

 

大阪国際がんセンター事務局 人事グループ

〒541-8567 大阪市中央区大手前3-1-69

電話:06-6945-1181

メールアドレス:jinji#oici.jp(#を@に変えてください。)

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