肝胆道がん

  • 診療内容 / 実績
名誉病院長
左近 賢人
肝胆膵外科長
後藤 邦仁
副部長
和田 浩志
副部長
小松 久晃
医長
向井 洋介
医長
久保 維彦
医長
網崎 正孝

肝・胆道がん

肝がん

肝がんには、肝臓由来の原発性肝がんと、他臓器からの血行性転移である転移性肝がんがあります。原発性肝がんは、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、最近では生活習慣病や脂肪性肝炎に起因する肝細胞癌と、肝臓内の胆管上皮から発生した肝内胆管癌に大別されます。一方、転移性肝がんは、その原発臓器により治療方針が異なりますが、大腸癌、神経内分泌腫瘍、GIST(消化管間質腫瘍)などが肝切除術の適応となります。

肝切除術

肝がんに対する根治性の高い治療法であり、腫瘍の大きさ、個数、進展範囲に加えて、併存する肝疾患の肝機能を加味して、切除範囲を決定します。

肝切除症例数
肝がんの手術件数
肝細胞がんのステージ別生存率
5年 10年
Stage I N=120 82.8% 65.0%
Stage II N=457 76.1% 53.1%
Stage III N=159 55.7% 36.3%
Stage IV N=56 41.6% 27.7%

胆道がん

胆道とは、肝臓で産生・分泌された胆汁が十二指腸までの排出経路のことであり、その領域にできたがんを総称して胆道がんといいます。胆道がんは、肝内胆管がん、肝外胆管がん(肝門部胆管がん・遠位胆管がん)、胆嚢がんと十二指腸乳頭部がん(Vater乳頭部がん)に分類されます。胆道がんでは、腫瘍の局在によって手術術式が異なりますが、肝門部胆管がんや肝門部に近い肝内胆管がんに対しては、肝葉切除と胆道再建を、遠位胆管がんや十二指腸乳頭部がんに対しては、膵頭十二指腸切除術が選択されます。

胆道がんの手術件数
胆道がんのステージ別生存率
3年 5年
Stage I N=128 92.0% 88.2%
Stage II N=190 71.2% 62.7%
Stage III N=69 60.0% 52.5%
Stage IV N=32 21.4% 10.7%

当院での取り組み

進行肝細胞がんに対する集学的治療
門脈内に広がった進行肝がん(腫瘍栓)に対して、体幹部定位放射線治療(SBRT:stereotactic body radiotherapy、12Gyx4回)を行い、速やかに外科切除を行う集学的治療を行っています。
進行胆道がんに対する集学的治療
化学療法、放射線療法を行った後に根治切除を行うことで治療成績向上を目指しています。
肝がんに対する腹腔鏡手術
低侵襲治療である腹腔鏡下肝切除術を行っています。
肝切除術におけるシミュレーション・ナビゲーション

術中にICGという色素とICGカメラを用いて、切除する肝臓もしくは残す肝臓を染色して肝切除のナビゲーションとしています。術前のCT画像より3Dイメージを作成し、3Dプリンターを用いて立体模型を作成して、手術シミュレーションを行っています。

近赤外光を利用した肝細胞がんの術中微小転移診断
術前にICGという色素を注射することにより肝細胞がんが蛍光を発する性質を利用してICG蛍光カメラを用いた術中微小肝がんの検索、腫瘍位置確認を行い、がんの取り残しのない手術を行っています。

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