第69回 秋の味覚をフレッシュにアレンジ〜献立の組み合わせのコツ〜
「実りの秋」と言われるように秋の味覚は多く、食欲の減退しやすい夏に比べて、秋は食欲が増進しやすい傾向にあります。また、秋は夏の暑さが去って身体も気分も快調になり、ついつい食べ過ぎてしまい、それが原因で胃腸のトラブルがおきやすくなり、体調を崩しやすい時期でもあるようです。
今回はそんな秋の味覚を存分に使い、指示量の範囲内で満足感を満たすことのできる調理法や献立の組み合わせをご紹介しました。
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【ミニ雑学】
季節の変わり目であるこの時期は、気温の低下に伴って便秘になりやすい人も増えるようです。そこで今回は便秘について調べてみました。
- ◆便秘の種類
- ◎急性便秘
- 病気や環境の変化、食生活の乱れなど一般的な要因で便秘になった状態をいいます。通常の生活に戻ると解消します
- ◎慢性便秘
- 常に便秘がちであることを指し、病気が原因でなければ「結腸性」「直腸性」「けいれん性」に分かれます。
・結腸性便秘・・・女性や高齢者に多く、腸の動きが低下しているために起こります。
・直腸性便秘・・・トイレを我慢することによって、排便反射が起こらなくなってしまうことが原因で起こります。
・けいれん性便秘・・・ストレスが原因で腸がけいれんし、便をうまく運べないために起こります。 - ◆便秘の解消法
- 食物繊維は腸のぜん動運動を促進するだけでなく、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を良好に保つ働きがあり、便通にはとても重要になります。だからといって便秘を解消するためには単純に食物繊維をたくさん摂ればいいというわけではありません。それよりも、普段から自然な排便習慣を身につけることのほうが大切です。そのためにもビタミンやミネラルをバランスよく摂り、身体の細胞や身体機能を活性化させて正常に戻すことから始めましょう。
【秋を上手に満喫しましょう】
食欲には二種類あり、“身体がエネルギーを必要としているときの食欲”、“テレビや雑誌などによる外部刺激によって生まれる食欲”があると言われています。
特に秋は食べ物が少なくなる冬に向かって栄養源となる脂肪を身体に溜め込もうとする季節なので、外部刺激によって生まれる食欲に任せて食べ続けていると、太ってしまうのは当然です。これを防ぐためにも食事の時間帯は一定にし、テレビや雑誌を見るなどの“ながら食い”は避けましょう。
秋には「食欲の秋」、「スポーツの秋」、「読書の秋」などと言われるように様々な秋の楽しみ方があります。これらを上手に取り入れて充実した秋を満喫しましょう。
レシピ
ここに掲載したレシピは、ご家庭でも手軽にお試しいただけるように、分量を目安で表示しています。実際の食事指導では、患者様ごとに厳密に栄養計算した料理をお出ししています。
一食分の栄養量合計
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★ごぼうの生姜ごはん
エネルギー319kcal、蛋白質5.1g、脂質0.5g、炭水化物70.6g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- 精白米1/2カップ強、ごぼう1/7本弱、しょうが小1個、うすくちしょうゆ小さじ2/3杯、青しそ少々
- ■ 作り方
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- ① 米は洗って通常の水加減で炊く。
- ② ごぼうは皮をむき、細かいささがきにして水にさらしておく。
- ③ 鍋にお湯を沸かし、酢を加えてごぼうを茹で、水気を切る。
- ④ しょうがは皮をむいてみじん切りにする。
- ⑤ 鍋にごぼうとしょうがを入れ、だしとうすくちしょうゆを加えて汁気がなくなるまで煮詰める。
- ⑥ ごはんと煮詰めたごぼうを混ぜ合わせ、刻んだ青しそを散らす。
★さんまのかば焼き焼き野菜すだち添え
エネルギー172kcal、蛋白質9.4g、脂質11.1g、炭水化物6.1g
- ■ 材料 (分量・・・1人分)
- さんま1/2尾、酒小さじ1杯、みりん小さじ1杯弱、こいくちしょうゆ小さじ1/2杯、しょうがの絞り汁適量、粉山椒少々、穂しそ1本、しいたけ1枚、れんこん0.5cm×1枚、グリーンアスパラ1本、すだち1/2個
- ■ 作り方
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- ① さんまを三枚下ろしにし、1枚を3等分にする。
- ② バットにさんまを並べ、合わせた調味料を加えて5分程度漬け込む。
- ③ テフロン加工のフライパンを熱し、さんまを並べて両面を焼く。
- ④ バットに残った調味料をまわしかけて煮詰め、仕上げにさんまの表面に塗る。
- ⑤ しいたけは石づきを取り、食べやすい大きさに切る。
- ⑥ れんこんは皮をむいて半月切りにし、水にさらす。
- ⑦ アスパラは軸を切り落とし、3等分にする。
- ⑧ 野菜は網で焼いて添える。すだちも半分に切って添える。
★ささみと野菜のぶどう酢ドレッシング和え
エネルギー34kcal、蛋白質3.5g、脂質0.2g、炭水化物4.7g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- きゅうり1/3本弱、水菜1茎、とり肉ささみ1/8本、しめじ5本程度、赤ピーマン1/8個、ぶどう酢(自家製)小さじ2杯、さとう小さじ1/3杯、しお小さじ1/12杯、こしょう少々、とんぶり少々
- ■ 作り方
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- ① 2日以上前からぶどう酢を作っておく。瓶は煮沸消毒する。巨峰1房(250g〜300g)を皮付きのままよく洗い、水気をふき取って瓶に入れ穀物酢1Lを加えて漬け込む。2日以上冷蔵庫で寝かす。
- ② ささみは筋を取り、茹でて細かく裂いておく。
- ③ 水菜は芯を切り落とし、食べやすく刻む。
- ④ きゅうりは洗って縦半分に切り、斜めの半月切りにし、塩もみしてから水にさらす。
- ⑤ 赤ピーマンは半分に切って種を取り、千切りにする。
- ⑥ ささみと野菜を混ぜ合わせ、合わせた調味料で和える。
- ⑦ 器に盛り付け、とんぶりを散らす。
★秋穫れポテトのカレー風味
エネルギー23kcal、蛋白質0.5g、脂質0.0g、炭水化物5.4g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- じゃがいも1/4個強、しお小さじ1/20杯弱、カレー粉少々
- ■ 作り方
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- ① じゃがいもは洗って皮付きのまま蒸す。
- ② 竹串が通るくらいまで蒸したら皮をむいて食べやすい大きさに切る。
- ③ 天板に並べて220℃のオーブンで10分程度焼く。
- ④ カレー粉はフライパンに入れて火にかけ、空煎りして塩と合わせじゃがいもに振る。
★茄子のナムル
エネルギー23kcal、蛋白質1.0g、脂質1.0g、炭水化物2.7g
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- なす1/2本、うすくちしょうゆ小さじ1/2杯、白ごま小さじ2/3杯、葉ねぎ7cm程度
- ■ 作り方
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- ① なすは洗ってヘタを取って蒸し器で蒸す。
- ② 蒸し上がったら冷まして食べやすい大きさに切る。
- ③ 白ごまを煎ってすりつぶし、しょうゆ、小口切りにした葉ねぎと合わせてなすと和える。
★無花果のコンポートと白ワインジュレのゼリー
エネルギー16kcal、蛋白質0.5g、脂質0.0g、炭水化物2.9g
- ≪ いちじくのコンポート ≫
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- いちじく3個(約200g)、低甘味料20g、水250cc、洋酒少々
- ■ 作り方
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- ① いちじくは洗って軸を取る。
- ② 鍋に皮付きのいちじくと材料をすべて入れ、落としぶたをして10分程度煮る。途中でひっくり返す。
- ③ 火を止めてしばらくおき、煮含ませる。
- ≪ いちじくのワインゼリー ≫
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- いちじくのコンポート1/4個、白ワイン小さじ1杯弱、水大さじ2杯弱、コンポートの液小さじ1杯、低甘味料小さじ2/5杯、粉寒天小さじ1/2杯弱
- ■ 作り方
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- ① カップにコンポートを一口大に切って入れる。
- ② 鍋にコンポート以外の材料を入れて火にかける。
- ③ コンポートの入ったカップに②を入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
- ≪ 白ワインゼリー ≫
- ■ 材料(分量・・・1人分)
- 白ワイン小さじ1/2杯強、水小さじ4杯、低甘味料小さじ2/5杯、粉ゼラチン小さじ1/6杯、金粉少々
- ■ 作り方
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- ① 鍋に材料すべてを入れて火にかける。
- ② ①をボールに移し、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固め、固まったら泡立て器かフォークで混ぜてゼリーを崩す。
- ③ いちじくのワインゼリーにいちじくのコンポートと崩した白ワインのゼリーをのせ、金粉をふりかける。