第63回 長寿の秘策はバランスのよい食習慣〜地産地消の郷土料理・沖縄編

 この教室の基本でもある『医食同源』に基づいて今回は’長寿’をテーマにし、長寿の秘策について調べてみました。長寿の秘策はバランスのとれた生活習慣にあるといわれています。バランスのとれた生活習慣とは、食習慣はもちろん十分な睡眠、適度な運動、ストレスをため込まない生活など様々なことがあげられます。
そこで食習慣において長寿の秘策をさぐるために長寿県で有名な沖縄県に着目してみました。沖縄の食習慣は、肉類は頭、耳から足まで丸ごと全て使って料理するほど豚肉が中心で、良質のたんぱく質やビタミンB1、コラーゲンなどを豊富に摂ることができます。また、野菜をたくさん取り入れた郷土料理が多く、ビタミンやミネラルも充足しているといえます。野菜は漬物にする習慣がなく、塩分の摂取量も比較的少ないなどの特徴がありました。これらの特徴がバランスよく組み合わさることで長寿につながっていると考えられ、今回はそんな沖縄料理の一部をお弁当に取り入れ紹介しました。
ミニ雑学では『沖縄の食習慣』について詳しく調べてみました。

  • ・肉巻きおにぎり
  • ・まいたけごはん
  • ・海鮮炒め
  • ・豆腐サラダごまだれドレッシングかけ
  • ・にがうりの黒糖煮
  • ・おかひじきの磯和え
  • ・紅芋のヨーグルトムース
  • レシピを見る

ミニ雑学:沖縄の伝統的な食習慣の特徴

① 肉類(特に豚肉)を過不足なく食べる
沖縄の肉料理といえば豚肉が中心ですがその調理法にも特徴があり、調理をする際は豚肉をゆでこぼしてから用いたり、長時間かけてよく煮込んだりする料理が多く、余分な脂肪が取り除かれた料理が多いと言われています。
② 黒糖を使う
黒糖にはフェニルグルコシドという成分が含まれ、上白糖に比べて糖分の腸管吸収を緩和する働きがあります。また、カルシウムやリン、カリウムなどのミネラルやビタミンも豊富に含まれています
③ 海藻をよく食べる
沖縄で最も消費されているモズクには、フコイダンと呼ばれる食物繊維が豊富で、抗腫瘍作用や抗潰瘍作用があります。また沖縄料理は昆布も豊富に使われ、昆布でだし汁をとるだけでなく、千切りにして炒め物に加えたり、炊き込みご飯に入れたりと昆布をそのまま食べることで昆布に含まれる栄養素をそのまま摂ることができます。
④ 豆類(特に豆腐)を肉類とバランスよく食べる
良質の植物性たんぱく質の供給源である豆腐は沖縄料理には欠かすことができない食材の一つで、チャンプルー(炒め物)や揚げ物など様々料理で使われています。

【長寿の秘策は『医食同源』】

 沖縄は琉球と呼ばれた時代から様々な面で中国や東南アジアからの影響を受けていました。特に中国からは『医食同源』の思想を受け、食べ物のことを’クスイムン’(薬物:「薬になるからだにいいご飯」の意味)、’ヌチグスイ’(命の薬)とも呼んでいました。
『医食同源』とは、”病気を治す”という行為も”食事をする”という行為も共に生命を養い健康を保つためであり、その本質は同じであることを意味します。
糖尿病は治療によっていったん良くなっても、食事療法を継続しなければまた悪化させてしまう原因になり、食生活がとても重要になります。糖尿病に限らず、他の生活習慣病にも同じ事がいえるでしょう。『医食同源』は食事療法の基礎であり原点です。普段から食事には気をつけているという方も時々原点に戻り食生活を見直してみましょう。

レシピ

ここに掲載したレシピは、ご家庭でも手軽にお試しいただけるように、分量を目安で表示しています。実際の食事指導では、患者様ごとに厳密に栄養計算した料理をお出ししています。

一食分の栄養量合計

  • エネルギー 556kcal
  • 蛋白質 33.2g
  • 脂質 6.3g
  • 炭水化物 89.3g

肉巻きおにぎり

エネルギー134kcal、蛋白質8.0g、脂質2.0g、炭水化物19.4g

■ 材料(分量・・・1人分)
精白米1/6カップ、しょうが小1/2個、ぶた肉(もも赤身)2枚、こいくちしょうゆ小さじ1/2杯、酒小さじ1/2杯強、しそ2枚
■ 作り方
  • ① ごはんにみじん切りにしたしょうがを混ぜ、俵型のおにぎりを2個作る。
  • ② ぶた肉(赤身もも)は、薄切りのものを切らずにおにぎりに巻きつけて、テフロン加工のフライパンで焦げ目をつける。
  • ③ 天板におにぎりを並べ、こいくちしょうゆと酒を合わせてまんべんなくふりかけて170℃のオーブンで10分程度焼く。
  • ④ しそを敷いて肉巻きおにぎりを盛り付ける。  

まいたけごはん

エネルギー225kcal、蛋白質4.2g、脂質0.6g、炭水化物49.7g

■ 材料 (分量・・・1人分)
精白米1/3カップ強、まいたけ1/5パック、昆布茶小さじ1/5杯、スイートコーン小さじ1杯弱
■ 作り方
  • ① 米を洗い通常の水加減にして、ほぐしたまいたけと昆布茶を入れてごはんを炊く。
  • ② 炊き上がったら器に盛り付け、さっと茹でたスイートコーンを上にふりかける。

海鮮炒め

エネルギー79kcal、蛋白質13.0g、脂質0.4g、炭水化物6.4g

■ 材料(分量・・・1人分)
えび3尾、いか10g×3切れ、ブロッコリー1/6株弱、パプリカ(赤)1/5個、パプリカ(黄)1/5個、しいたけ2/3枚、オイスターソース小さじ1杯、しお小さじ1/10杯、こしょう少々、かたくり粉小さじ1/3杯
■ 作り方
  • ① ブロッコリーは食べやすい大きさに切り分けて茹で、水気を切っておく。パプリカ(赤)(黄)は皮をむき1.2cm程度の色紙切りにする。しいたけは石づきを取り、いちょう切りにする。
  • ② フライパンにえびといかを入れ、大さじ3杯程度の水を加えて火を通す。
  • ③ 野菜を入れてさらに炒め調味料を加える。水溶きかたくり粉を加えてとろみを付ける。

豆腐サラダごまだれドレッシングかけ

エネルギー57kcal、蛋白質3.3g、脂質2.7g、炭水化物4.1g

■ 材料(分量・・・1人分)
ソフトとうふ2/15丁、トマト1/10個、サニーレタス1/3枚、酢小さじ2杯、ごま小さじ4/5杯、うすくちしょうゆ小さじ1/3杯、さとう小さじ1/3杯
■ 作り方
  • ① ソフトとうふは茹でて水切りをし、軽くつぶしておく。トマトは湯むきをして種をとりサイコロ状に切る。
  • ② サニーレタスは食べやすい大きさにちぎり洗っておく。
  • ③ ごまをすりつぶして練りごま状にし、酢、さとう、しょうゆを加えてドレッシングを作る。
  • ④ とうふとトマトをざっくり混ぜ、サニーレタスを敷いた上に盛り付け、ごまだれドレッシングをかける。
  • ⑤ 固まったら切り分けて盛り付ける。

にがうりの黒糖煮

エネルギー15kcal、蛋白質0.8g、脂質0g、炭水化物3.1g

■ 材料(分量・・・1人分)
にがうり3cm程度、黒糖(粉)小さじ1/2杯、うすくちしょうゆ小さじ1/6杯、かつおぶし1/6パック
■ 作り方
  • ① にがうりは種を取り、薄切りにする。鍋ににがうりを入れ、浸る程度の水と調味料を加えて煮詰める。
  • ② 煮詰まったら仕上げにかつおぶしを和える。

おかひじきの磯和え

エネルギー7kcal、蛋白質0.7g、脂質0.1g、炭水化物1.3g

■ 材料(分量・・・1人分)
おかひじき1/3パック、うすくちしょうゆ小さじ1/4杯、のり少々
■ 作り方
  • ① おかひじきは根元を1cmくらい切り落とし、食べやすい長さに切って茹で、水にさらして水気を切っておく。
  • ② のりは軽く火であぶり細かくちぎり、おかひじきにしょうゆと一緒に和える。

紅芋のヨーグルトムース

エネルギー39kcal、蛋白質3.2g、脂質0.5g、炭水化物5.3g

■ 材料(分量・・・1人分)
ながいも1cm弱、紅いも1cm厚さの1/10切れ、プレーンヨーグルト(無糖)大さじ1杯、スキムミルク小さじ2杯弱、水1/8カップ、低甘味料(0キロカロリー)小さじ1杯弱、レモン果汁小さじ1/12杯、ゼラチン小さじ1/2杯弱、紅いも少々
■ 作り方
  • ① ながいもと紅いもは皮をむいて適当な大きさに切り、柔らかくなるまで蒸し器で20分〜30分蒸す。
  • ② ヨーグルト、スキムミルク、水、低甘味料を混ぜ合わせる。
  • ③ 蒸し上がったいもをそれぞれ裏ごしし、紅いもは飾り用に少しだけ取り分けておく。裏ごししたながいもと紅いもを合わせてよく混ぜ、さらに裏ごしする。
  • ④ ③のいもに②を少しずつ混ぜて伸ばしながら合わせていく。混ざったらこし器ででこす。
  • ⑤ レモン果汁を加えてよく混ぜる。
  • ⑥ 小さじ1杯程度の80℃以上のお湯(分量外)にゼラチンを溶かし、⑤に加える。
  • ⑦ 容器に流し入れて冷蔵庫で冷やし固める。
  • ⑧ 固まったらお皿に盛り付け、取り分けておいた紅いもを上に飾る。

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