滑膜肉腫 Synovial sarcoma
- 【疾患概念、発生頻度】
- 若年から青壮年に好発する悪性軟部腫瘍で、腺管形成など上皮性分化を伴う腫瘍である。悪性軟部腫瘍の5~10%程度を占め、四肢の関節近傍に多いが、手や足、頭頚部や縦隔などにも発生し、まれに腎や肺などの臓器からも発生する。SS18遺伝子とSSX遺伝子が相互転座をきたした融合遺伝子SS18-SSXがほぼ全例で認められ、腫瘍の発生に関与している。
- 【病型・分類】
- 紡錘形細胞の増殖と腺管形成を認める二相型biphasicと紡錘形細胞だけからなる単相型monophasic、類円形細胞の増殖が著明な低分化型poorly differentiatedに分類される。
- 【臨床症状または病態】
- 数か月で増大する症例もあれば数年間ほとんど大きくならない症例もあり注意を要する。著明な自発痛や圧痛を伴う症例もある。
- 【必要な検査とその所見】
- MRI、CT(PET-CT)、X線検査を行う。X線やCTにて点状、斑状の石灰化を認める場合がある。小さいものではMRIで均一な充実腫瘤であることが多いが、大きなものでは壊死、出血、線維成分、石灰化などが混在し多彩な信号変化を呈することが多い。
- 【診断のポイント、コンサルテーション】
- 確定診断には、病理検査が必要で遺伝子診断が重要である。本疾患を疑えば、生検から専門施設で実施することが望ましい。仮に単純切除後に本腫瘍と診断された場合も速やかに専門施設への紹介が重要である。
- 【治療方針】
- 腫瘍の大きさ、転移の有無、病理学的悪性度などにより病期が決定し、年齢や腫瘍発生部位などを考慮し、治療方針を決定する。適切な切除縁を確保し周囲の健常組織と一塊に広範切除を行うことが治療の原則であり、5㎝以上で高悪性度の場合は、補助化学療法を考慮する。
- 【合併症と予後】
- 初診時転移のない場合の5年生存率は60~80%程度で、5㎝以上、高悪性度は予後不良因子とされている。まれに10年以上経過後に再発や転移が生じることもあり注意を要する。
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