炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor: IMT)
- 診療内容 / 実績
IMTは稀な肉腫であり、筋線維芽細胞や線維芽細胞と炎症細胞浸潤が混在する腫瘍です。様々な年齢で発症しますが、小児や若年成人で発症することが多く、やや女性に多いと報告されています。一番多い発生部位は、腹部軟部組織ですが、肺、縦郭、頭頚部、消化管、泌尿生殖器からの発生もあります。症状はIMTが発生した部位により異なり、例えば腹部腫瘍として発生した場合は、消化管閉塞や出血をきたすことがあります。また、呼吸器に発生した場合は、胸痛や呼吸困難感を訴えることもあります。約3分の1の患者さんでは、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状を認め、血液検査において貧血、血小板増多、炎症反応の上昇を認めます。治療法は、切除可能であれば、手術による腫瘍摘出が基本です。しかし、肺以外から発生したIMTの約25%が再発すると報告されており、稀ではありますが肺、脳、肝臓、骨などに遠隔転移することがあります。IMTの約50%では、ALK遺伝子の再構成を認め、ALK融合遺伝子陽性肺癌で使用されるALK阻害剤(クリゾチニブ、ロルラチニブなど)がある程度有効と報告されています。