中心性軟骨肉腫 (Central chondrosarcoma)

  • 診療内容 / 実績
【疾患概念、発生頻度】
骨が原発の悪性腫瘍の中で骨肉腫に次いで2番目の発生頻度を占める腫瘍である。40-70歳に多く発生し男女でその差はない。軟骨基質の形成を認め骨破壊や遠隔転移を伴う。軟骨肉腫は発生様式(原発性、二次性)と発生部位(中心性、末梢性)により下図のように分類される。本稿では通常型軟骨肉腫(原発性中心性)について述べる。
主に長管骨の骨幹端、骨盤、肋骨の髄内に発生する。近年、低悪性度(Grade1)については、局所再発を認めるが転移を認めない四肢骨発生腫瘍については異型軟骨腫瘍(中間群)、再発により死亡する可能性のある体軸・肢帯骨発生腫瘍を軟骨肉腫Grade1(低悪性度)と再分類された。
【臨床症状または病態】
腫瘍部の腫脹や疼痛が主症状であるが無症状の場合も多い。病的骨折を伴う場合もある。
【必要な検査とその所見】
MRI、CT(PET-CT)、X線検査を行う。X線やCTにて様々な形態の石灰化を認める。低悪性度のものは髄内に点状やリング状の石灰を認める。Grade2,3のものは高度な骨破壊を認め骨外病変を伴うことも多く、通常は骨膜反応は伴わない。MRIでは比較的均一な信号で、T1でIso-Low、T2でややHighな信号を示す。
【診断のポイント、コンサルテーション】
およそ発症年齢や画像所見から本疾患を疑うことは可能であるが、治療方針が悪性度によって異なるため病理検査が重要である。骨破壊を伴う骨腫瘍で石灰化を伴う大きな腫瘍の場合は本疾患を疑う必要がある。その際は、生検から専門施設で実施することが望ましく速やかに専門施設への紹介が必要である。
【治療方針】
化学療法や放射線治療は効果が低く、外科的切除が基本である。Grade1であれば病巣掻爬術、Grade2, 3であれば腫瘍広範切除術を選択する。しかしながら骨盤や体軸骨発生の大きな腫瘍の場合は手術不能な場合も多く、放射線治療(重粒子線治療)を選択する場合もある。遠隔転移を認めた場合は化学療法を試みる例もあるが効果は低いことが多い。
【合併症と予後】
悪性度により5年生存率はGrade1; 95%以上、Grade2; 85%、Grade3; 30%と報告されており、悪性度により大きく異なる。代謝に関連するIDH1/IDH2遺伝子やCOL2A1, RB1遺伝子、ヘッジホッグ遺伝子経路などの異常が報告されているが、予後との相関は明らかでない。

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