類骨骨腫 Osteoid osteoma

  • 診療内容 / 実績
【概念】
類骨骨腫は小さな良性骨形成性腫瘍で、特徴的な夜間に増強する疼痛を認める。病変は限局性でnidusと呼ばれる境界明瞭な小結節であり、大きさは2cm以下である。周囲に著明な反応性骨硬化性変化を伴うことが多い。
【疫学】
年齢は10歳代までの小児に多く、中高年ではまれである。男女比は男性に多い。類骨骨腫はどの骨でも発生しうるが、50%の患者は大腿骨および脛骨を中心とする長管骨に発生し、脊椎の椎弓、手の短管骨などにも発生する。皮質に好発し(75%)、髄質に生じることは少なく(25%)、骨膜下病変や表層病変はまれである。
【臨床的特徴】
・徴候および症状
通常、痛みで始まり、最初は夜間増悪を伴う間欠的で軽度なものであるが、やがて睡眠を妨げるほど執拗になる。約80%の患者では、少量のNSAIDsで一時的ではあるが、痛みが軽減される。身体所見では、局所の圧痛、発赤、腫脹を認める。長管骨の末端に発生する場合は、隣接関節の腫脹および関節液貯留、異所性骨化を呈することがある。脊椎では、脊柱管狭窄症のような症状を呈することがある。
・画像所見
単純X線画像、CT:周囲に著明な硬化像を伴う1cm以下の楕円形の溶骨性病変、いわゆるnidusが特徴的である。さらにその中心部に石灰化を伴うことがある。
MRI:周囲に反応性浮腫性変化を伴うため多彩な所見を呈する。NidusはT2強調像で高信号、T1強調像で低信号を呈し、造影後は強い増強効果を受ける。
その他の画像所見:骨シンチグラフィでは、周囲の反応性変化を含めて強い異常集積がみられるが、nidusに相当する中心部でより強い傾向がある。
画像上の鑑別診断としては、Brodie膿瘍、骨折、骨芽細胞腫、骨腫、Langerhans細胞組織球症、血腫、転移性骨腫瘍などが挙げられる。
【治療・予後】
治療法は夜間痛などにはNSAIDsを投与し、疼痛コントロールが可能であれば経過観察を選択する。6〜7年で消退していくことが多いが、疼痛が強い場合には、手術の適応となる。手術はnidusの摘出を行い、その摘出により、硬化した周囲反応層は徐々に軽快していく。最近はCTガイド下でのラジオ波焼灼術などが低侵襲手術として行われている。Nidusが完全に除去されれば疼痛は速やかに改善し、再発の可能性は低いが、切除が不完全であれば数ヶ月から数年後に再発が生じる。悪性転化の報告はこれまでにない。

参考文献
骨・軟部腫瘍 臨床・画像・病理 改訂第2版 診断と治療社
WHO Classification of Tumours Soft Tissue and Bone Tumours 5th edition

関連サイト

センター
広報誌

総合受付06-6945-1181 月曜日~金曜日(祝日除く) 午前9時~午後5時30分