類血管腫型線維性組織球腫 angiomatoid fibrous histiocytoma (AFH)

  • 診療内容 / 実績
【疾患概念】
10歳未満の小児から30歳代の壮年期に好発する軟部腫瘍で、WHO分類ではrarely metastasizingに分類される良悪性中間型 (intermediate) 腫瘍の一つである。悪性軟部腫瘍の中でもその発生は稀とされる。四肢の発生が多く、筋膜より深層にも発生するが、頻度的には皮下発生の方が多い。原因遺伝子として融合遺伝子であるEWSR1-CREB1, EWSR1-ATF1, FUS-ATF1が報告されている。
【臨床症状または病態】
基本的には無痛の腫瘤である。良悪性中間型軟部腫瘍であることを反映して月単位で増大する高悪性度悪性軟部腫瘍と比較して緩徐な腫瘍増大を示す。転移を認める場合、血行性転移のみでなくリンパ節転移の頻度も少なくないので所属リンパ節である腋窩や鼠径リンパ節の触診は重要である。
【必要な検査とその所見】
MRIが有用である。MRIでは他の軟部腫瘍と比較して多房性(multilocular)、嚢胞性(cystic)、液面形成(fluid-fluid level)、偽被膜形成(pseudocapsule)などが特徴として挙げられる。遠隔転移およびリンパ節転移の検索にはPET-CTが効果的である。
【診断のポイント、コンサルテーション】
その希少さゆえに確定診断に難渋することが多く、他の悪性軟部腫瘍と診断されてしまうこともある。上記特徴を踏まえた上で本疾患を疑い融合遺伝子を含めた病理診断を行うことが正しい診断を得るために必要である。そのため、本疾患を疑えば、生検を含めた診断および治療を専門施設で実施することが望ましい。仮に単純切除後に本腫瘍と診断された場合も速やかに専門施設への紹介が重要である。
【治療方針】
治療に関して考慮すべき一番の問題は局所再発である。一度局所再発を起こすと悪性度が高くなり転移をきたす可能性も高まる。そのため初回手術で切除縁を確保した広範切除が考慮される。化学療法や放射線治療の有効性は示されていない。遠隔転移およびリンパ節転移をきたした症例に対する確立した治療法はない。
【合併症と予後】
局所再発、遠隔転移を来さなければ外科的切除により予後は良好である。局所再発には細心の注意が必要で、遠隔転移を生じた症例の予後は不良である。AFH 108例の解析では経過観察期間中央値63か月(5-189か月)で、局所再発11例(12%)、遠隔転移4例(4%)、原病死1例(1%)と報告されている (Costa and Weiss, Am J Surg Pathol., 1990) 。

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