BCOR遺伝子異常肉腫 Sarcoma with BCOR genetic alterations

  • 診療内容 / 実績
【疾患概念】
BCOR遺伝子異常肉腫はEWSR1-nonETS肉腫やCIC遺伝子再構成肉腫とならびユーイング様肉腫に属する間葉系悪性腫瘍である。遺伝子異常としてBCOR-CCNB3, BCOR-MAML3, ZC3H7B-BCORやBCOR internal tandem duplication (ITD)などが報告されており、Cyclin D1の発現亢進が腫瘍発生に関与するといわれている。好発年齢はほとんどの症例が10歳代に発生し男性に多いとされている (年齢中央値14[2-71]歳、男性82%)1)。骨・軟部どちらにも発生する高悪性度肉腫であり、四肢にも体幹にも発生する。骨軟部以外の腎明細胞肉腫や高悪性度子宮内膜子宮間質肉腫、高悪性度神経上皮性腫瘍にもBCOR遺伝子異常が認められており今後の研究が待たれる2)
【臨床症状または病態】
無痛の腫瘤であり、高悪性度悪性腫瘍であることを反映して月単位で急速な増大を示す。他の悪性骨軟部腫瘍と同様に転移を認める場合、血行性転移が多くリンパ節転移はあまり見られない。
【必要な検査とその所見】
他の悪性腫瘍と同様に造影CTやMRI、PET-CTが有用である。血液検査における特定の腫瘍マーカーは存在しない。画像所見では他の悪性腫瘍と比較して特徴的な所見はなく、造影効果を伴い、MRIではT1 iso, T2 inhomogeneous highとなる。
【診断のポイント、コンサルテーション】
増大スピードを含めた経過や画像診断から悪性を疑うことが必要で、針生検や切開生検で病理学的診断を行う。ユーイング様肉腫に含まれるが、細胞形態は小円形よりはむしろ紡錘形のことが多いため、他の紡錘形細胞肉腫と診断されてしまうことも多い。このため正確な診断に至るには遺伝子検索が必須であり、専門施設へコンサルテーションの上、診断・治療を行うことが極めて重要である。
【治療方針】
ユーイング様肉腫であることからユーイング肉腫に準じた治療を行うかどうかについては議論の余地があるが、ユーイング肉腫に準じた治療とそれ以外の治療とで生存率に差がないという報告があり1)、今後さらなる報告を待ちたいところである。他の悪性軟部腫瘍と同様に腫瘍広範切除±補助化学療法/放射線治療が施行される。
【合併症と予後】
BCOR遺伝子異常肉腫の予後はユーイング肉腫とほぼ同等(5年生存率:72%)と報告されている3)。局所再発や遠隔転移には注意が必要である。
参考文献
1)Kyriazoglou A et al., Acta Oncologica. 2021
2)吉田朗彦 日本小児血液・がん学会雑誌 2019 年
3)Kao YC et al., Am J Surg Pathol. 2018

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