横紋筋肉腫 Rhabdomyosarcoma

  • 診療内容 / 実績
【疾患概念】
小児、若年者に好発する横紋筋への分化を示す悪性軟部腫瘍。2020年WHO分類では胎児型、胞巣型、多形型、紡錘形細胞/硬化型の4つの亜型に分けられる。胎児型、胞巣型が多く、ともにリンパ節転移の頻度が高い。胎児型は小児の頭頚部や泌尿生殖器に好発し、胞巣型は思春期から若年成人の四肢や副鼻腔に、多形型は高齢男性の下肢に、紡錘形細胞/硬化型は男児の傍精巣と成人の頭頚部に好発する。胞巣型では融合遺伝子PAX3/FOXO1もしくはPAX7/FOXO1がみられ、紡錘形細胞/硬化型ではMyoD1の変異がみられることが多い。
【リスク分類】
胎児型と胞巣型は原発部位、腫瘍の広がり、大きさ、リンパ節転移、遠隔転移の有無によって治療前ステージが決定され、初回手術後の残存腫瘍の程度により術後グループ分類がなされる。治療前ステージと術後グループ分類の組み合わせによって低リスクから高リスクまでリスク分類される(小児がん診療ガイドライン参照)。
【必要な検査とその所見】
本疾患を疑う場合、MRI、CT、PETCT、骨髄検査を行う。PETCTは感度特異度ともに高く領域リンパ節の評価にも重要である。
【診断のポイント】
上記検査後、腫瘍切除または生検を行い、病理検査で診断を確定する。その際に領域リンパ節の生検も考慮する。融合遺伝子PAX-FOXO1の検索も重要である。
【専門病院へのコンサルテーション】
多診療科での集学的な診断治療体制が必要であり、本疾患を疑った時点で速やかに日本横紋筋肉腫研究グループ参加施設などの専門病院への紹介が必要である。
【治療方針】
胎児型と胞巣型では、リスク分類に応じて化学療法(VAC療法など)、放射線治療、手術治療を組み合わせた集学的治療が施行され、他の肉腫とは異なる治療方針が推奨されている。一方で、多形型では他の非小円形細胞肉腫と同様の治療方針が推奨されている。
【合併症と予後】
5年生存率は低リスクで約80%、中リスクで約60%、高リスクで約40%と非常に予後不良であり、長期生存が得られた場合も、治療に伴う晩期合併症(心筋障害、腎障害、ホルモン異常、二次がん、不妊、成長障害など)も多く、長期にわたる定期的なFollowが必要である。

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