大腸外科
- 診療内容 / 実績
豊富な実績で、安心し納得できる最適な大腸がん治療を徹底追求します

大腸外科の特徴
大腸がんに対して、低侵襲かつ高精度な手術や個別化された化学療法を提供しています。
- ・豊富なスタッフ:技術と知識を兼ね備えたスタッフ
- 消化器外科学会 専門医 7名、指導医 5名
- 大腸肛門病学会 専門医 7名、指導医 5名
- 内視鏡外科学会 腹腔鏡手術技術認定医 8名
- ・ダビンチ Xi:3 台
- 術者認定10名、プロクター5名
- ・hinotori:1 台
- 術者認定7名、プロクター1名
- ・肛門温存手術の積極的実施(直腸がんに対するTNTを含む)
- ・Quick-in外来:病期診断と治療方針を速やかに決定
- ・クリニカルパス:早期社会復帰を目指した術前・術後スケジュール
- ・多職種チームによるサポート:がん治療をさまざまな形で支援
- ・AIアバター:Quick-in外来をわかりやすく案内
- ・化学療法:標準治療から治験まで実施

各医師のプロフィールは、消化器外科のサイトをご覧ください。
手術実績 (2024年)
- ・年間手術件数:453件
- ・年間大腸がん手術件数(原発巣切除件数):351件
- ・低侵襲手術率(腹腔鏡・ロボット手術/大腸がん手術):97.6%
- ・初診から手術までの日数:平均18日(3週間前後)
- ・術後在院日数:平均8日(結腸 5〜7日、直腸 7〜14日)
大腸がんの診断と治療
大腸がんの手術
ロボット支援手術と腹腔鏡手術について

近年、多くの手術で傷が小さく回復の早いロボット支援手術・腹腔鏡手術が可能です 当センターでは大腸がん手術の97.6%を低侵襲で実施し、その約70%をロボット支援手術で行っています。
ロボット支援低位前方切除術

下部直腸後壁部分に腫瘍を同定。赤線の範囲の腫瘍を含む腸管とリンパ節の切除を行います。

R1〜R4にロボット用ポートを入れます。ロボットとドッキング後にポートからカメラやインストゥルメント(鉗子、ハサミ型の電気メス、自動縫合器など)入れます。助手は腹腔鏡用の鉗子でサポートします。

①ハサミ型の電気メスで後腹膜からS状結腸と直腸を剥離し、切除する部分を慎重に授動します。

②剥離が終了すると、がんの進行度に合わせて腸管膜の切除範囲を決定します。

③病巣から2〜3cm離して直腸を自動縫合器で切離します。残ったS状結腸側の断端を体腔外に導出し、自動吻合器の先端(アンビル)を装着します。切除された腫瘍を含む腸管は小切開創(臍)から取り出します。

④病巣を切除したあとは、S状結腸と残った直腸をつなげるため、肛門から自動吻合器を挿入しドッキングし吻合します。

横から見た図では、円形にステイプラーがかかり、中央が打ち抜かれて吻合口が形成されます。

⑤吻合が確実にできていること、止血ができていることを確認し、ポートを抜いて切開創を縫合して手術終了です。縫合には吸収される糸を使っています。
ロボット支援結腸右半切除術

上行結腸部にがんを同定。赤線の範囲の腫瘍を含む腸管とリンパ節の切除を行います。

R1〜R4にロボット用ポートを挿入します。ロボットとドッキング後にポートからカメラやインストゥルメント(鉗子)を挿入します。助手が腹腔鏡用の鉗子で手術をサポートします。

①ハサミ型電気メスで右側結腸を後腹膜から剥離し、慎重に上行結腸を授動します。

②回盲部から上行結腸へ、がんの進行度に合わせてリンパ節を含む腸管膜の切除を行います。上行結腸と回腸は自動縫合器で切離します。

③病巣を含む腸管を切除したあとは、横行結腸と回腸をつなげるためにそれぞれに小孔を開けます。(赤丸部分)

④体腔内で小孔に自動縫合器を挿入し、回腸と上行結腸を挟み込み、自動縫合器で縫合と切離を同時に行います。

⑤吻合口が作られ、上行結腸と回腸が開通した状態になります。最後に開いている口を自動縫合器で閉鎖します。

⑥切除した腫瘍と腸管を切開創から取り出します。吻合が確実にできていること、止血ができていること、異物がないことを確認します。その後、ポートを抜き、切開創を縫合して終了です。縫合には吸収される糸を使用しています。
術前・術後の流れ
大腸がん手術の流れ(初診から退院まで)

- 術前外来
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- ・AIアバター動画による受診前案内
- ・Quick-in外来(初診):診察・術前検査・手術日の相談
- ・2回目:麻酔科外来(全身麻酔の説明)と大腸外科(手術説明)
- ※必要に応じて追加検査を行います
- 入院
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- ・手術2日前に入院
- ・手術当日:ICU/HCUで経過観察
- ・術後1日目~:疼痛管理とリハビリ開始
- ・退院目安:結腸 5〜7日/直腸 7〜14日
- ※必要に応じて追加検査を行います
- 退院後
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- ・2〜3週間後:病理・手術結果の説明(必要に応じ術後補助化学療法を検討)
- ・フォローアップ(目安:5年間):
- ○ 採血:3か月ごと
- ○ CT:6か月ごと
- ○ 大腸内視鏡:数年に1回
入院中の流れ(クリニカルパス)

入院前から退院までのスケジュール(クリニカルパス)をご案内します。非日常である手術をできるだけ日常の延長として安心して受けられるよう、術前・術後の計画をあらかじめ整えています。目標は退院そのものではなく、退院後の生活を見据えた早期の社会復帰です。
患者さんの心と暮らしを支えるために
- 1.不安に寄り添うコミュニケーション
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- 初めて「がん」と聞くと不安になります。当科では、患者さんやご家族のお気持ちに配慮しながら、わかりやすい言葉で丁寧にご説明します。初診時には、わかりやすいパンフレットをお渡しします。
- 2.ケアチームでのサポート体制
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- 医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなどが一丸となり、治療だけでなく生活・心のケアも含めてサポートします。
肛門・直腸温存への取り組み
- ・直腸がんセンターを併設:エキスパートによる専門的な治療を提供しています。
- ・術前化学・放射線療法(TNT):腫瘍の縮小と肛門・直腸温存の可能性を追求します。
- ・術後の生活の質(QOL):患者様に寄り添った治療を提供します。
- ・内視鏡治療やロボット手術:超低位前方切除術や括約筋間直腸切除術(ISR)を導入し、積極的に肛門温存を目指します。

治療成績(ステージ別5年生存率)
- 結腸がん
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- ・ステージI 91.6%
- ・ステージII 95.2%
- ・ステージIII 82.7%
- 直腸がん
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- ・ステージI 94.8%
- ・ステージII 92.1%
- ・ステージIII 82.3%

患者さん・ご家族からのご質問にお答えします
手術件数が多いと何がいいのでしょうか?
手術の件数が多い病院では、医師やスタッフが豊富な経験を積み、合併症を減らす工夫や手術技術の向上に取り組みやすい傾向があります。当科では年間350件以上の大腸がん手術を行っており、常に技術の向上と安全性の確保に努めています。
手術までの待機期間はどれくらいですか?
初診日からおよそ3週間ほどです。ただし、進行度や患者さんの病状により異なるため、担当医の指示に従ってください。
術後はどのくらいで退院できますか?
ロボット手術や腹腔鏡手術の場合は、結腸がんでは術後5〜7日ほど、直腸がんでは術後7〜14日ほどで退院できる方が多いです。ただし、進行度や患者さんの体調により異なるため、担当医の指示に従ってください。
ストーマ(人工肛門)が必要になることは多いですか?
大腸がんの部位や進行度によってはストーマが必要になりますが、すべての症例に造設するわけではありません。造設が必要な場合も、ストーマ外来や専門スタッフがケアをサポートしますのでご安心ください。
費用はどのくらいかかりますか?
保険診療の範囲で治療を受ける場合、手術や化学療法の費用の目安は数十万円ほどですが、「高額療養費制度」を利用することで自己負担額が抑えられます。いまのあなたに最適な公的支援制度や民間保険が、見つかるサイトもあります。ご利用ください。
家族の付き添いは必要ですか?
外来での術前説明や術後初回外来の説明時にはご家族のご同行をおすすめしています。また、手術当日は、手術が終了したらご家族に説明をさせていただきます。ご家族の付き添いが難しい場合もあるかと思います。その際は、担当医にご相談ください。面会のご案内もご確認ください。
他院で大腸がんの手術が難しいと言われました。相談できますか?
もちろん可能です。セカンドオピニオン外来も行っていますので、お気軽にご予約ください。
大腸がんの治験や臨床試験に参加するとどんなメリットがありますか?
新しい薬剤や治療法を受けられる可能性があり、標準治療と比べて効果が高い場合や副作用が少ない場合があります。ただし、未知のリスクも伴いますので、担当医としっかり相談のうえご検討ください。治験情報はこちらをごらんください。
当科の方針
大阪国際がんセンター大腸外科では、豊富な手術実績をもとに、各分野の専門家と連携しながら、常に最新の治療を取り入れ、患者さん一人ひとりに適した治療を提供しています。安心と納得のもと「出会えて良かった」と思っていただける医療を目指します。
大腸がん治療に関わるケアチーム
大阪国際がんセンター がん対策センターの「おおさか がんサポートブック」も、無料でダウンロートできます。参考にしてください。
- ・更新日:2025年11月1日
- ・参照ガイドライン:大腸がん治療ガイドライン 2024年版 (金原出版)
監修:大腸外科 科長 /直腸がんセンター センター長 賀川義規(日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、大腸肛門病学会専門医、消化器病学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医など)















