グレープフルーツジュース | 服薬時に注意すべき食品

グレープフルーツジュース

 グレープフルーツジュースは、一部の薬剤との相互作用の恐れがあるとして、医師や薬剤師だけでなく診療に携わる医療従事者には広く知られています。もっとも有名なのでは血圧降下薬であるカルシウム拮抗薬との関係で、この薬剤の血中濃度に影響する可能性が報告されています。また、同じような機序で、一部の抗がん剤でも同様の可能性が指摘されています。

どうしてグレープフルーツに注意しないといけないの?

グレープフルーツジュースにはフラノクマリン類が含まれており、これが薬剤との相互作用に関係していることがわかっています。
薬剤は体内に入ると分解を受け、経口薬であれば、吸収と分解のバランスで血中濃度が決まり、効果を発揮します。薬剤の効果はこの血中濃度が上がれば強めになって、状況によっては副作用が出現する可能性があります。逆に、下がれば効果は弱めになります。
このフラノクマリン類は薬剤の分解を遅らせるため、血中濃度が上がることが推測されます。最近の研究では、一部の薬剤では消化管から吸収され血液中に移行するときに一定量が分解されているのですが、フラノクマリン類はその作用を抑制してしまうため、より多くの薬剤が血液中に移行し血中濃度が上がると考えられています。したがって、経口薬ではグレープフルーツジュースの相互作用で血中濃度が上がる可能性があります。
このような理由で相互作用の可能性のある薬剤は、すべて発売時にはこの点に着目してグレープフルーツジュースを念頭に検討されています。薬剤ごとに受ける影響は違いますので、たとえ可能性があっても実際の血中濃度には影響がほとんどない場合もあります。薬剤の取扱説明書にあたる「添付文書」や「インタビューフォーム」等には、治療上注意すべき影響がある場合にはグレープフルーツジュースがフラノクマリン類を含む食材の代表として服薬上の注意点として記載されています。該当する薬剤を処方される場合、医師や薬剤師さんからグレープフルーツジュースの摂取に関し指導されることがありますので確認してください。

相互作用の可能性がある薬剤を服薬するときの考え方

ほとんどの場合、グレープフルーツジュースに関した相互作用については発売時に判断されています。薬剤に関してグレープフルーツジュースに関して特別な指導がなかった場合にでも、相互作用について心配であれば服薬中の薬剤が関係しているかどうかは薬剤師さんに確認することはできます。
しかし、相互作用の可能性があるだけで「グレープフルーツジュースなどを厳禁扱い」するわけにはいきません。実際の薬剤の濃度変動から発生する効果の変動や出現する症状は薬剤ごとに異なります。また、実際の変動があっても、症状出現までの濃度差が大きい場合や他の薬剤の分解機構の影響が高い場合などは、問題となることが少ないからです。もともとこの作用も個人差があります。逆に高齢者では変動の影響を受けやすい可能性もあります。

添付文書等にはグレープフルーツとの相互作用の注意記述がある薬剤

(当センターで使用頻度の高い上位20品目中 一般名アイウエオ順)

記載内容

  • 副作用が増強する恐れがあるとし、併用に注意すること

医師からのコメント

  • 他の同じ分解酵素で代謝される薬剤と同列で記載されています。グレープフルーツジュースで実際に血中濃度が増加することを確認したわけではありませんが、基本的な注意の中で併用注意薬にグレープフルーツジュースを追加して、患者向け医薬品ガイドでは実際にグレープフルーツジュースの飲食を控えるように指示がされています。

記載内容

  • 食後投与により血中濃度が上昇した。

医師からのコメント

  • 食後の投与で血中濃度は上昇したようですが、食事についての注意事項などの記述がありませんので、影響がないと考えていいでしょう。

記載内容

  • 血中濃度が上昇するおそれがあるので、服薬中は飲食を避けること

医師からのコメント

  • 使用上の注意の相互作用の項目でグレープフルーツジュースを取り上げて、服薬中は飲食を避けるよう指示がされています。

記載内容

  • 血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用は注意すること

医師からのコメント

  • イレッサ服薬中は、グレープフルーツジュースがイレッサの分解に影響するおそれがあり、血中濃度が上がる可能性があります。使用上の注意中の相互作用の項目では併用に注意することのみが記載されています。患者向け医薬品ガイドでは「グレープフルーツジュースによって薬の作用が強くあらわれることがある」と注意を促す記載があり、やはりグレープフルーツジュースの摂取は避けておく方がいいでしょう。

添付文書等にはグレープフルーツとの相互作用の記載がないが、関連が懸念される薬剤

(当センターで使用頻度の高い上位20品目中 一般名アイウエオ順)

記載内容

  • 添付文書には記載されていませんが、グレープフルーツジュースがこの薬剤の分解に影響するおそれがあり、血中濃度が上がる可能性があります。

医師からのコメント

  • グレープフルーツジュースを毎日摂取していた方が2週間摂取をやめた直後後に投与を受けた時(初回)の血中濃度の結果が報告されています。グレープフルーツジュースはその後も摂取されないまま第2回目の投与を受けられた治療時の血中濃度との比較では初回での薬剤の分解は2回目に比べ約36%遅くなっていたようです。しかし、この報告は一患者だけでの報告であり、その後約7年間の同様な影響は報告されておらず、さらに実際の阻害作用は経口薬での腸からの吸収時に発生しやすいことなどから、注射薬である本剤ではこの件に関し添付文書への記載には至っていないようです。ただし、まだ不明な点もありますので、グレープフルーツジュースは治療期間中継続して摂取しないほうがいいと考えられます。
当ページの閲覧推奨環境については、コチラをご覧ください。
Copyright © 2018 MSBR /Osaka International Cancer Institute. All Rights Reserved
当サイト内の画像の無断転載、及び複製等の行為はご遠慮ください。
食品と医薬品の関係
薬と食品の相互作用について
相互作用とその注意
服薬時に注意すべき食品

関連サイト

センター
広報誌

総合受付06-6945-1181 月曜日~金曜日(祝日除く) 午前9時~午後5時30分